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106 人中、95人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
この記述変更はひどすぎませんか?,
By まともな読者もいるよ (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 下山事件最後の証言 完全版 (祥伝社文庫 し 8-3) (文庫)
私は諸永裕司からはじまる近年の”下山事件本”をすべて読んできて、この著者の単行本も読み、背後の黒幕は吉田茂政府だとの主張を、驚きとともに新鮮な提示として読んだ。ただ論理の運びからは、やや記述が錯綜し、ごたごたし、論旨が繋がっていないと感じる点もあった。しかし今回の「増補完全版」と銘打ったこの本を読んで驚いた。上記の、恐らくこの本の最大の主張である箇所が、前記05年単行本と今回の増補版とで、下記のように正反対になっているのだ。05年刊本では「ここに一つの図式が浮かび上がる。日本政府は、外資から国鉄を守るため、下山総裁を抹殺したのではなかったか」。 今度の増補版では「ここに一つの図式が浮かび上がる。日本政府は、外資の導入を加速させるため、下山総裁を抹殺したのではなかったか」 これはあんまりではないか。よしんば考え抜いた結果、結論をこう変更したというのなら、著者がその旨をあとがきでもどこでも断わるべきではないか。そうでなければ、読者に対し不誠実だと思うのだが。
27 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
近年の下山事件ものの中では一番まし。,
By 寿 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 下山事件―最後の証言 (単行本)
ここ数年,森達也,諸永祐司が下山事件に関する新しい観点の著作を出しているが,それら2者と本書は,実はほぼ同じ新情報を基に著されたもの。その元ネタは,柴田氏の取材活動によるものだ。 彼の力量と言うよりは,彼の親類縁者に事件関係者とおぼしい人がいたという偶然が大きかったようである。 いずれにせよ,森氏,諸永氏は,いずれも伝聞情報をもとにしていたわけで,実際,両者の下山事件に関する著作は,読後感としても迫力には乏しかった。 その意味で,ここ数年の著作の中では一番だと思う,のだが。 全体として,本書の出来もすばらしいとは思えない。 理由は,結局のところ,柴田氏自身も,自分の得た情報を紹介する以上にはこの事件を消化し切れていないように思われるところにある。 過去に指摘された事項のうち,そもそも検討の俎上にすら上っていない点も多々見受けられる。 また,錯綜する情報の取捨選択も首尾一貫しない。誰を信じ,誰を信用しないのかすら曖昧だし,自己の目指す結論に都合のよい情報だけをつまみ食いしているように見える。 著者がそれを自覚し,読者に白状しつつ筆を置くのならばそれもありだろう。 なにせ,これはあの下山事件を扱っているのだから。 しかし,本作は,著者なりに結論を得たとしつつも,肝心の部分では伏せ字を多用し,結論を明示することを避けている。これでは,結論が出たという彼の独白も空々しく響くのみだ。 森氏,諸永氏に自己の取材結果を先に報じられた焦りがあったのかも知れないし,身内の犯罪に触れる部分にはこれ以上踏み込めなかったのかも知れないが,しかし詰めの甘さは致命的であった。 ドキュメンタリーとしての満足度は残念ながら高いとは言えない。 小説だと思って読めば,この評価くらいにはなるであろう。
50 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ラストが・・・,
By
レビュー対象商品: 下山事件―最後の証言 (単行本)
久々に読み応えがある本だ。戦後最大の謎とされ、さまざまな憶測が飛び交ったこの事件はけして風化しないミステリーである。 赤狩り、GHQ、満州事変、アヘン、大物右翼、CIA、731部隊、三菱、三越、エリザベスサンダーホーム、昭電疑獄・・・。 出てくる人々も吉田茂をはじめ白州次郎、岸信介、児玉誉志夫、あの人もこの人も一級品であるから下山総裁轢死事件はすべての戦後を吸い込んで肥大したブラックホールといっていい。 これ以上秘められている真実を知ることは返って不幸になるような気がする。むしろ知りたくなかったと思うほど重いミステリーだ。 深く、重く、暗く、陰惨で凄まじい証言ばかりだ。 ただ、惜しいかな、最後の章はいらなかった。 著者の祖父への感傷的な部分がまったく余計だと思った。 彼が祖父や祖母やその一族に寄せる思いは本文中で充分に伝わっているのだから。 だいたい、読み終えて寄せる感傷はさまざまな人間の思惑に嵌められて謀殺された下山氏にある。下山総裁にも家族がいるのだ。 このラストの感傷と、インタビュアーである著者への相手の賛辞が何度か臆面もなく掲載されているのがひっかかった。 自らの家族の証言を天下に晒すという一種過酷な形を取ったのである。その決意は並々ならぬものがあったのだろうと推測できる。だからこそ、ジャーナリストはどんなときにも冷徹な観察眼とスタンスを失ってはならない。そう考えるとき、彼の資質に少しでも疑念が生じるようなまねをしてはならなかったのではないだろうか。 それでもこの本の面白さは一級品。
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