宮台らの「民主主義が一度もなかった国・日本」に非常に似た雰囲気の本である。特に小幡は「全ての経済は…」で「経済とはねずみ講である」と喝破したので強く印象に残ったが、本書もケインズをめった切りするなど切れ味鋭い内容となっている。内容は経済、政治…等多岐にわたっているのも特徴であり、最近の日本の不調が一過性ではなく衰退期に既に(本書では石油危機後となっている)入っているという認識が日本人によって述べられているのは現時点で大変珍しい(世界では常識)ので本書を参考になる読者もおおかろう。
本書の内容に私は異論はないが、一つ非常に気になった点がある。これは著者は終始観察者の視点であり、自身が日本人として解決しようという意欲がないのである。この姿勢をドストエフスキーなら「ニヒリスト」と呼ぶことであろう。特に小幡が「日本が内需を増やせる手段はない」と言い切るのは経済学者としてはどうか。せめて論拠を具体的に示すべきであろう。また、著者は「大学教育は振り込み詐欺」であるとする。ここまで大学を罵倒する意見を私は初めて目にするがこれは真実である。問題は著者は二人とも大学ないし大学院の教授であり、つまり両者とも詐欺師の片棒を担いでいるのである。これは非常に責められるべきであろう。中央大学の社会学者山田は、生徒が院に進学しようとすると「親が経営者でないかぎり大学院には行くべきでない」と止めるようにするという。小幡は院生を(悪意はないにしろ)小学生呼ばわりするが、飯の種である彼らに対して良心は痛まないのか。猛省を促したい。