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上陸 (河出文庫)
 
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上陸 (河出文庫) [文庫]

田中 小実昌
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

終戦直後、パリコミロクマ(呼び込み易者)をしていたころの日常を描いた「やくざアルバイト」、戦場での兵隊と上官との悲惨な関係「赤鬼がでてくる芝居」、労働争議の中の人間模様「その十日間のこと」等、同人誌時代の田中小実昌の多彩な創作活動を示す貴重な作品集。後のコミさんの作品世界はここに凝縮されていた。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田中 小実昌
1925年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学科中退。軽演劇、将校クラブの雑役、香具師などの職を転々とした後、翻訳、文筆業へ進む。1979年、第81回直木賞と第15回谷崎賞を受賞。2005年、ロサンジェルスにて客死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 248ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2005/9/3)
  • ISBN-10: 4309407579
  • ISBN-13: 978-4309407579
  • 発売日: 2005/9/3
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
この文庫は、初期に同人誌などに発表していた短編を集めたもの。

>まだ生きている僕には、(..略)蛆はわいていない。
 こんな書き出しの「赤鬼が出てくる芝居」が小実昌節のハシリのようで、思い切り感動してしまった。コミさんの大事なネタである「兵隊もの」だけれど、生な描写のなかに、芝居気があふれかえっていて楽しい。

登場人物が芝居をするだけでなく、語り手も相当に芝居しているのにも注目。たとえば、
>あの時、走っていた僕は、どうも芝居をしていたのではないらしい。とすると、僕は何をしていたのだろう。
 こんな語り口、語り手自身の自問というのもコミマサの世界の特徴だ。それが1955年という頃にすでに登場しているのだから嬉しい発見だ。「ポロポロ」あたりになると、そうした物語への懐疑がストレートに出すぎて、「もういいよ」という気分にもなるのだが、初期の、まだ題材にのめりこむ形で文の上手さが伝わるこの頃のが一番素直に読める。
 いや、「ポロポロ」の純文学風の構成も立派なものではある。ただし、アタマで謎かけしておいて客を集め、バイが終われば謎を引っ込める、というのは香具師の定石だろう。それが格調高い物語に出てしまっては、ちょっといやだなと思う。
 
香具師の話なら「香具師の旅」など傑作が思い浮かぶけれども、ここに収録されている「やくざアルバイト」などほとんどエッセイだが、やはり滑らかで人懐こい語り口が楽しい。

 戦後ものの「上陸」はハードボイルド調の秀作。英語にして読んでも楽しいだろうな。 書こうとする景色に対する視力が段違いなんだ。

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形式:文庫
この文庫は、初期に同人誌などに発表していた短編を集めたもの。

>まだ生きている僕には、(..略)蛆はわいていない。
 こんな書き出しの「赤鬼が出てくる芝居」が小実昌節のハシリのようで、思い切り感動してしまった。コミさんの大事なネタである「兵隊もの」だけれど、生な描写のなかに、芝居気があふれかえっていて楽しい。

登場人物が芝居をするだけでなく、語り手も相当に芝居しているのにも注目。たとえば、
>あの時、走っていた僕は、どうも芝居をしていたのではないらしい。とすると、僕は何をしていたのだろう。
 こんな語り口、語り手自身の自問というのもコミマサの世界の特徴だ。それが1955年という頃にすでに登場しているのだから嬉しい発見だ。「ポロポロ」あたりになると、そうした物語への懐疑がストレートに出すぎて、「もういいよ」という気分にもなるのだが、初期の、まだ題材にのめりこむ形で文の上手さが伝わるこの頃のが一番素直に読める。
 いや、「ポロポロ」の純文学風の構成も立派なものではある。ただし、アタマで謎かけしておいて客を集め、バイが終われば謎を引っ込める、というのは香具師の定石だろう。それが格調高い物語に出てしまっては、ちょっといやだなと思う。
 
香具師の話なら「香具師の旅」など傑作が思い浮かぶけれども、ここに収録されている「やくざアルバイト」などほとんどエッセイだが、やはり滑らかで人懐こい語り口が楽しい。

 戦後ものの「上陸」はハードボイルド調の秀作。英語にして読んでも楽しいだろうな。 書こうとする景色に対する視力が段違いなんだ。ヘミングウェイ勉強するよりタメになること請け合い!

このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 この文庫は、初期に同人誌などに発表していた短編を集めたもの。

>まだ生きている僕には、(..略)蛆はわいていない。
 こんな書き出しの「赤鬼が出てくる芝居」が小実昌節のハシリのようで、思い切り感動してしまった。コミさんの大事なネタである「兵隊もの」だけれど、生な描写のなかに、芝居気があふれかえっていて楽しい。

 登場人物が芝居をするだけでなく、語り手も相当に芝居しているのにも注目。たとえば、
>あの時、走っていた僕は、どうも芝居をしていたのではないらしい。とすると、僕は何をしていたのだろう。
 こんな語り口、語り手自身の自問というのもコミマサの世界の特徴だ。それが1955年という頃にすでに登場しているのだから嬉しい発見だ。「ポロポロ」あたりになると、そうした物語への懐疑がストレートに出すぎて、「もういいよ」という気分にもなるのだが、初期の、まだ題材にのめりこむ形で文の上手さが伝わるこの頃のが一番素直に読める。
 いや、「ポロポロ」の純文学風の構成も立派なものではある。ただし、アタマで謎かけしておいて客を集め、バイが終われば謎を引っ込める、というのは香具師の定石だろう。それが格調高い物語に出てしまっては、ちょっといやだなと思う。
 
 香具師の話なら「香具師の旅」など傑作が思い浮かぶけれども、ここに収録されている「やくざアルバイト」などほとんどエッセイだが、やはり滑らかで人懐こい語り口が楽しい。

 戦後ものの「上陸」はハードボイルド調の秀作。英語にして読んでも楽しいだろうな。 書こうとする景色に対する視力が段違いなんだ。ヘミングウェイ勉強するよりタメになること請け合い!

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