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有名演出家を父に持ち、演劇の世界を夢見る主人公と、
彼女の目の前に突然現れた青年。
どうしようもなく青年に惹かれてゆく主人公。
しかし、ふたりの道は交わるべき運命ではなかった。
それでも想いだけは微熱を増してしまう…。
昭和初期を知らない私なのに、何故か懐かしさを覚えてしまうような
巧みな筆致で、この作品集は描かれている。
喧噪と、倦怠と、騒乱。憂鬱と、熱情と、破綻。
行く末のわからない、激動の昭和の匂いが立ち込めている。
物語としての昭和を味わってみたいなら、
長野ファンでなくとも愉しめる一冊であろう。
時代もそれぞれな短編集ですが、どれもその時代その時代の濃密な空気を感じることができ、飽きることがありません。
そのなかでも、最後の「白昼堂々」は、独立してシリーズ化されただけあって
読みやすいのではないでしょうか。
美しい言葉遣いには惚れ惚れしてしまいます…。
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