知人にウイグル人がおり、最近上海経由で新疆ウイグル自治区に行っただけに、その時に見た風景が蘇ってきて、そういう点でも楽しめた。
もし、その土地に行ったことの無い方は、レンタルビデオ店でNHKの「シルクロード」(第1,2,3,9集がおすすめ)を見てから読むと、贅沢な時間が過ごせるのでは。
日本人が必ず感じるであろう、横柄な上海人に対する不快感や、無理やりに異民族が同じ地区に住んでいるという違和感、また、それに関する質問をした時のウイグル族の人々の異常なまでの公安に対する恐れよう。その真相がこの本には描かれており、改めて中国という国の恐ろしさを感じさせられた。
だからこそ、読み終わった時、いや、読んでいる時から思っていた事がある。
「作者の身の上は大丈夫であろうか?」そう思わせるほど攻撃的に、「これでもか。」と言わんばかりに、克明に、詳細に、作者は中国政府、そして世界の内部をえぐる。
もしかしたらこの本はフィクションの形式をとったドキュメンタリーなのでは…。そんな思いを抱き、胸をたからせながら読み切った。
テロリスト、うたかたの恋、中国共産党・公安当局、CIA、アフガニスタン…。巧みな人物描写と、同時刻各国各所で交錯する人間模様。絡まった糸がほどけるように、繊細なパズルが組み合わされるように、クライマックスへと向かっていく。
難しいかもしれない。けれど切に願う。この小説こそ、映画化して欲しいと。