1937年頃の上海は、ぜひともタイムスリップしてみたい場所のひとつだ。各国の思惑が渦巻く大都市での物語というと、やはり「カサブランカ」が思い起こされる。本作も軸はラブストーリーなのだが、「カサブランカ」と違うのはハッピーエンドなことだ。J・アイヴォリー監督・カズオ・イシグロ原作だと、もう少し「耐え忍ぶ」話かな、と思っていたら、結構情熱的で(笑)。中でもレイフ・ファインズとナターシャ・リチャードソンの抑えきれない気持ちの表現力が凄い。ロシア革命で無一文で逃げてきた元貴族の悲哀も描かれるが、貧乏のなか信念を持って日々を過ごすV・レッドグレイヴの凄みにも圧倒された。それと真田広之。かつてこれだけ多くの英語セリフ(かつ英国訛り)を発した日本人俳優がいただろうか?。無口な軍人とか、侍とか、あまり喋らない役柄が多かったので、これは嬉しかった。実際に1930年代に撮られたら、この役は100%早川雪洲が演じていただろう。真田と背格好も似ているし、松田役を観ていたら、1910年代・パラマウント&ハワースで絶頂期の雪洲の姿を重ねてしまった。事実上中国人(笑)であるC・ドイルのカメラワークも抜群だし、ヘンテコ日本の姿もないし、歴史を学ぶ意味でも日本人必見の作品だと思う。特典映像もメイキングや真田のロングインタビューなど満載なので、おススメです。星4.5で四捨五入の5つ(笑)。