そもそも市場に出て来る国際商品・原油の掘削について書いてある本(採掘専門家によるダニエル・ヤーギンのような解説つき)
を期待して購入したが、大きく違っていて失望した。
本書はタイトルの付け方が間違っている。現在・未来の話はほとんどなく、大半は氷河期・古代〜南北戦争くらいまでの
各王朝での油質岩石のレンガなどへの使用方法だとか、カスピ海での岩石の有効利用の発見の経緯とかで占められている。
ネブカドネザル2世の治世にこの岩石を都の外壁に使ったとか言われても「はぁそうですか」という雑学にしかならず、
著者が年配の方であるためだろうか、地質解析の裏話も1970年代で止まっている。もはや著者がかつて石油産業で上流部門に
勤務していたというだけであり、「"1970年時点での石油産業の状況"を太古まで遡った考古学」の本と言った方が適切な表現
だろう(著者が旧・日本石油の関係者なのか?と思われる記述も見うけられる)。
著者が若いころに勤務した業界の後輩にあたる人々にも、そして石油業界に関心がある一般の人々にも、ほとんど実益は
ないのではないか(どういう地点に石油が溜まっているか、の一般的解説の記述はあるが)。強いて言えば「日本人の
元会社員が千年単位での世界史の中で石油産業を本にまとめた」点は珍しいと言えば珍しいが、一段落に一文しか書かない
など、ページ数が少なめな上に中身も期待以上に薄く残念。
総合的に言うなら、書店で現物を確認してからの購入をお勧めしたい。新書レベルで恐竜の化石の歴史やらを読みたいという
希望を最初からお持ちの方にはもっと高評価になるのだろうが、題名以外に情報もないまま上記の期待に基づいて購入して
しまった私には内容全体が予想外だったので低めの評価となった。