関西圏にいる人は、ローカルテレビ・ラジオや、寄席などで多くの上方噺家を知ることができるだろうが、そこから離れるとなかなか「上方落語」に恵まれる機会が少ない。全国的人気を誇った故桂枝雀(二代目)でも「枝雀寄席」のオンエアは関西圏だけであったし(後に一部がビデオ・DVDで販売されたが)、読売テレビの名物落語番組『平成紅梅亭』も全国ネットにはのっていない。NHK制作の落語番組でさえ上方落語のものは、関西圏に限定した放送であることが少なくない。吉本漫才芸人がこれだけ全国ネットにのっている現在、上方落語も全国放送してもらいたいと強く思う。その点で本書は、現在の上方落語界を知るための優れたデータブックであることは間違いない。当代の桂文我など、本人の意向によりデータ掲載のない噺家があるのは残念であるが、これはまぁ仕方ないところ。最も期待したのが、CD、DVDのリストであったが、現在廃盤のものは掲載しておらず、分量的には少な目なのが惜しまれる。また、多くの同一演者による同一演目もあるため、録音期日データもできれば掲載してほしかった。おそらく本書は2009〜2010年度版といった位置付けなのだろう。今後は多少高額になっても、CD、DVDはもちろんのこと、過去に市販された音源(SP・LP・カセット・VHSも含む)についての網羅的リストと、速記本リストをも掲載したデータブックへの発展を期待したい。