本書は、リーダーのストレスを解放してくれる本です。
著者の松山さんは「はじめに」で次のように宣言しています。
巷にあふれる上司が手にする本は「リーダーシップ」
「マネジメント」関係のものを含めて、最終的には
「もっと強くなれ、もっと有能になれ」とばかりに、
上司としての完璧さを求めるようなものばかりです。
完璧な人などいません。
完璧な上司もいません。
人は、ときにどうしようもなく弱くなる存在です。
松山さんは、次のように語りかけます。
- カリスマ上司になんてならなくていい
- 嫌いな部下がいるのは普通のことです
- できる人もできない人もいるのが職場です
- 上司だって「やる気」を失うときがあっていい
ときにヘルマン・ヘッセやドストエフスキーのことばを引きながら、松山さんは心の奥深くに励ましを送ってくれます。
歯をくいしばってガンバっている人は、本書のことばに心をわしづかみにされて、ぐっと来てしまうかもしれません。
そんな時は、無理せず泣いてしまいましょう。
松山さんも言っています。
「つらいときには、泣くのが一番。
涙は、そのためにあるのです。(中略)
人は、毎日、毎日、前向きに生きられる動物では
ありませんし、そんな必要もありません。
いつも笑顔じゃなくたっていいんです」
第5章には、問題ある職場の例が、これでもかというくらい登場します。
部下を潰してしまう上司、会話のない職場、中年管理職の心の危機など、悪い例がたくさん登場します。
この章を読んでいて、私は不思議な安心感を覚えました。
ひとつは、「自分の職場は、ここまでひどくない」という安堵。
もうひとつは、「どんなにひどくなったとしても、何か打つ手はある」という安心感です。
「プラス思考」が強調されすぎる時代に一石を投じる一書です。