著者、佐藤剛氏に謝意を表したい。日常に何にげ無く聴く「上を向いて歩こう」が
如何に誕生し、作者を支える人々が無欲に夢に向かって、突き進んだ実態が判りました。唄の背景に、日本が歩んだ敗戦後の日々、転々と変化する社会情勢がドラマの如く展開し、ひとつの唄と人それぞれとの共存が在った真実に驚かされました。中村八大氏の才能と夢がDave Dexter,Jr.の耳に到達した幸運は、十二歳の少年の貧しくも、キラキラした目の光が、海を越えてアメリカを明るく照らしました。著者の、振り返って十二歳の少年を愛おしむ暖かさで「上を向いて歩こう」の独り歩きの道を探った熱情に、私は心を打たれました。事実は小説より奇なり(貴なり!)、此の真実をより多くの日本人が知り、もっと誇らしげに、もっと大きな声で唱って欲しいと願うに至りました。
唄だけのことではありません、努力や誠意、我慢や希望、今わたし達、特に此れからの
日本の国を担う世代が、それぞれの立場で希望をもって突き進んで欲しい。そう願わせる著作です。赤貧を洗うも静かに自立するは、やはり誇らしい人生です。「上を向いて歩こう」は、庶民の哲学です、今、最も必要とされる本です。 鹿島仁(米国にて)