欺瞞とまでいかなくても、聞き手のツッコミが弱くて井植敏氏が言わなかったり、言いそびれたことがあるように感じた。
あるいは、本人が未だに気付いていない、三洋電機を凋落させた本当の原因とかを引き出せていないのではないだろうか。
ざっと目を通してみたところ、特に明らかに井植敏氏の業績でありながら、語られていないことも多いと感じた。
たとえば、有利子負債を1兆数千億にまで膨らませる体質を作り出してしまった遠因とも言える施策の数々。
これは、井植敏氏を経営者として評価する場合、外し難い点ではないだろうかと思うが、本人は気にも留めていないのだろうか。
有利子負債は、井植敏氏が三洋電機の社長に就任してから経営から退くまでの間にやった経営の結果を端的に示す数字の一つだと考えられるからだ。
それというのも、かつて、知名度が低いために業績は良くても株価は低迷し、そのために資金調達力が低くて無借金経営をする必要があったものが、井植敏氏が社長就任後に採った数々の施策のお陰で大きな資金調達が可能となったからだ。
井植敏氏がそれらの施策を打ち続けなければ、1兆数千億もの有利子負債などは、作りたくても作れなかったということだ。
そして、それらの施策は必然的に三洋電機の経営体質を無借金経営を軸とした管理会計重視から、投資家や銀行からの資金調達を軸とした財務会計重視に変化させ、ついには粉飾決算事件まで引き起こしてしまったことに連なっていると感じるからだ。
そういった井植敏氏の功罪をもっと掘り下げて区別しなければ、「永遠なれ!」と願う程の三洋電機の良さを際立たせるには、印象が薄いと感じる。