「三毛猫ホームズ」シリーズもついに45冊目になりました。
正直言って「推理小説」としての醍醐味はありません。
従って、ホームズの活躍の場も余りありません。
ただ、そうは言っても、片山兄妹の巻き込まれる事件は、現代の歪んだ側面を垣間見せてくれます。
今回も事件の発端は、偏執的な「愛情」が引き鉄となった殺人未遂事件です。
それに加えて、息子への盲目的な「愛情」で、相手を逆恨みする母親も登場します。
この母息子には、共通した間違った「愛情」があります。
それとは対照的に、身を賭して夫を助けようとする「愛情」もあり、妻の望む相手と一緒にさせるため身を引こうとする「愛情」もあり、記憶喪失の妻の幸せのため名乗らない「愛情」も登場します。
この巻は、その意味では、人間の「愛情」について語っています。
「愛情」は、偏ったり過度になって間違ったものになってしまうこともあれば、コミュニケーションが図られず、その意図の通じない一方的な「愛情」もあります。
そしてもちろん秘められた「愛情」もあります。
本来の「推理小説」としての味わいはないものの、人間のドラマとしての面白さは、読み安い中にも十分に感じられると思います。