1977〜2005年までTVKテレビで長寿番組(司会者のあの男は「ゲリラ番組」と呼んでいるが…)として親しまれてきた「新車情報」、その番組でずっと司会を勤めてきた三本和彦氏の久々の著書である。
クルマ好きな愚生としてはクルマ好きになった中学生の頃からずっとあの番組を見続けてきたから、かれこれ20年近い付き合いであった。
また、三本氏の歯に衣着せぬ解説も忘れられない。右手をげんこつにして運転時の頭上空間を測るやり方や、1mの白黒の棒でラゲッジルームの広さを測るやり方、そして高速道路で左右にハンドルを振って操縦安定性を見るやり方など、彼独特のインプレッションも目に残っているし、メーカーの開発責任者の事を「下手人(げしゅにん)」と呼んだり、「もう終われと言ってますんで…」といった独特の進行の仕方も面白かった。彼は同じ自動車ジャーナリストであっても、故・ポール・フレールらとは違ったカリスマ性がある。
さて、この本はそんな超辛口なジャーナリストの三本氏が御年78歳となるにもかかわらず、相変わらずの書き方で書き下ろした一冊だ。彼はクルマ好きであっても単にクルマだけを評価しているのでは無く、政治、特にクルマを取り巻く行政のあり方からの視点で見ている。それからユーザーにクルマはどうあるべきなのかといった視点からメーカーに人間に対しても厳しい。だからこそファンとしては安心して読める。サラサラッと2時間ほどで読んでしまったから、欲を言えばもう少し分厚くして、三本ワールドをもう少し堪能したかった。