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27 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
未完成の地図,
By badcom (兵庫県神戸市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 三月は深き紅の淵を (講談社文庫) (文庫)
恩田陸のファンの皆さんにはすでにご承知のとおり、筆者がまだOLとの兼業作家をやっていてとても寡作だった時期に書かれたこの短編集には、これから作者が書かんとする様々な作品の断片集でもあります。これから恩田陸を読まれる方には必携の読書地図です。序章で書かれた魅力的な架空の書物に出て来るのは、そのものズバリ『黒と茶の幻想』ですし、最終章の舞台は『麦の海に沈む果実』に続きます。まだ第二章の失踪した誰かを追って二人で旅行するというモチーフは『まひるの月をおいかけて』に共通しますし―― この作品にも荒削りでまとまりきっていない不思議な魅力がありますが、作品自体を超えて、存在そのものに価値があるというメタ・フィクション的な構造なのがまた小説としての面白味をぐっと引き上げていると思います。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
不思議に満ちている,
By バーニング (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 三月は深き紅の淵を (講談社文庫) (文庫)
至って、独特な感じ。文体でなくムード。引き立てるムード。前半は叙述ミステリーの要素を含みながら後半はサイコサスペンスにもなってくる幅の広さ。幅が広いからかどうかしっくりこない感じもあるが。短いせいもあるのだろう。あくまでも本作に至ってはそう感じさせられた。どこかにあるだろうと言われている幻の本「三月は深き紅の淵を」という本を巡る話で、第一章は主人公がその本を読んだと言われた人達のいる家に招かれる。四部作構成、出版数は数百しかない自費出版作。持ち主から借りた物は1日で返さなければらならない。第二章は女性編集者が本の作家を探る話。第三章、第四章は学園物。 第三章と第四章にテーマの追求の面では似ているが全部構成は異なる。四部作というのは本作もそうであり作中作の「三月は深き紅の淵を」もそうである。第一章は取りあえず作中作について語られる。勝手に話は進み、そしてラストは。ネタバレでしかないのに書けないが、決して読む気を失わないで読み通して欲しい。俺自身、第一章の終了時に屈折しかけただけに。 恩田陸という作家は色んな要素を持っているんだろう。それをこの小説にぶつけてきている。前半で提示された謎が別の方向へ行くんだから明らかに作家はひねくれ者とも思ってみる。面白いことに変わりないのだが、もっと面白くできるはず。 解説で皆川博子が述べているが、本作の解説は難しい。最後に締めくくっている言葉は、なんとなく納得した。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
読み手の姿勢が問われる…,
By nash13 (宮城県仙台市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 三月は深き紅の淵を (講談社文庫) (文庫)
女性作家らしい、いや恩田陸らしいと言うべきか…。中編集の連作というパターンだが、個々の作品は一冊の本が存在するということ以外、全くの独立した物語になっている。一見するだけでは何を意図するかいまいち解せず、シリーズの一編という事実が読み手の後押しをしてくれる。独立した中編として読むと恩田色が非常に色濃く、純度は高い。もう少しだけでも『紅の淵』自体を一貫させてほしいとも思ったが、それでは恩田陸としての魅力は半減してしまうのだろう。シリーズ全部を通して読む心構えが必要な作品だと思う。
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