なんだか歯切れの悪い作品だ。
角田さんの小説には、こういうタチのものがままある。
34歳。
結婚していても、子育てに取り紛れていても、キャリアを重ねていても、恋人がいても
それなりに逡巡がある年頃だ。
もう若くはない。「若さ」というものを、やっと距離をおいて見ることができるようになる
年代なのかもしれない。
ここに描かれた五人の男女も、大学時代の繋がりを引きずりつつ、
それぞれが自分の身の振り方を鑑みている。
こんなに強固にお互いの繋がりを維持している人々が、普遍的にいるとは
思えないが、青春の残り香を立ちのぼらせつつ、五人の現在(いま)を描くこの物語は、
あえて言うならば「青春晩期」とも言うべき匂いと新たなエネルギーも感じさせる。
学生の頃、選ばなかったことを今にして思い知り、やってみる。
そのことがある意味、稚拙でかつリアルだ。
しかし、人はそんなに賢く生きられるものではない。
ぐだぐだとした関係に、新しい切り口を入れるその瞬間、人は小さく生き直しているのだろう。
友情と愛情をない交ぜに、五人の一年間を描き、それぞれの心の行方を浮き彫りにする
手腕は角田さんの力業だろう。
感動や感銘ということばは当てはまらないが、人との関係のままならなさが興味深い。
なぞり直してみる青春の名残は苦く、模索しながら明日へと向かう彼らは
滑稽でもあり、痛々しくもあった。