三教指帰および文鏡秘府論の序文について、原文と訳文、そうして原文注釈が掲載されています。
さすが空海と言いますか、原文には様々な故事に依拠した記述がギッシリ詰め込まれているわけで、相当古典に造詣が深くないと読解できる代物ではありません。
しかしそれに対し、原文注釈が偏執狂の如く網羅されているのでご安心を。
時間をかけてじっくりと爪の先まで三教指帰を味わう事が出来ます。
また、訳文も原文の意を損なわない程度に非常に噛み砕いて上手く書かれているので、訳文のみサラリサラリと味わい読んでも、十分に「三教指帰を読了した」と言ってもいいと思います。
<初読・個人的なぶっちゃけた感想>
本書で難解なのは古典の記述になぞらえたくどい言い回しの部分だけで、これ自体は本文の主張とは殆ど関係ないと思う。ここには空海の勤勉さと文才しか見る点はない。
仏教サイドの主張は、よく見ると教理を横並び的に讃じているだけで、逆に儒教や道教ほどに論理立てた説得が為されていない事に気付く。若かりし頃の空海が、仏教の教えを知識としては吸収しつつも、まだ俗界の論理ほどには自分の手足には出来ていなかった事がうかがえる。