引退した俳優が主催したパーティで善良な老牧師がマティーニを口にした途端死んだ・・・人に恨みをかったり、金銭問題に巻き込まれるようにも見えない純朴な老牧師がなぜ?数ヶ月後、俳優の友人が同様の状況で死んだ・・・二つの事件に繋がりはあるのか?ポアロでさえ、途方にくれるが・・・三幕仕立てで送るクリスティの佳作
早川文庫版は、冒頭に「演出」「演出助手」「衣装」「照明」とスタッフが紹介されている。スタッフの欄に目を通すと登場人物の内からそれらしい人を振ってあり、遊び心にあふれている。ちなみに「照明」は「エルキュール・ポアロ」・・・真実を照す人なんですなぁ・・・
正直、云ってこの作品のトリックは、かなりとんでもない。「ふざけるな」と本を叩きつける人がいても驚きはしない。賛否両論は、必死かもしれない。しかし、自分は、感心した。かなりとんでもないトリックではあるが、最後に明らかにされる犯人なら、いかにも実行しそうなのだ。何気なく読んでいる内は気付かなかったが、要所、要所にさりげなく、時には大胆にその人物の特性が描かれていて、云われて見れば・・・いかにもこの人なら・・・と言う当たりが心憎い。読み終えてみるとこの犯罪自体が、犯人のそのもの・・・いうならば、「ある犯罪者の肖像」なのである。
5星でも構わないが・・・完成度と言う点で少々落ちる気がするので、星4つ。とはいえ、衝撃度は星5つでも足りないかもね・・・