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三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)
 
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三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫) [文庫]

三島 由紀夫 , 東 雅夫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦後文学の華麗なる旗手・三島由紀夫は、実作と批評の両面において、現代日本の怪奇幻想文学興隆にも大きく寄与した天才であった。「仲間」「切符」「孔雀」などの怪談風短篇から、心霊小説としても異彩を放つ中篇「英霊の聲」、上田秋成、柳田國男、泉鏡花らへのオマージュ、出色の幻想文学論「小説とは何か」まで―「三島由紀夫による怪談文芸入門」と称すべき充実の一巻本選集、ここに誕生。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

三島 由紀夫
1925‐1970。東京の四谷に生まれる。東京帝国大学法学部卒業後、大蔵省に入省するも九ヶ月で退職。すでに作家として創作活動を行っていたが、退職翌年に発表した『仮面の告白』で文壇での地位を確立する。70年、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げる

東 雅夫
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長、現「幽」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 382ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2007/9/10)
  • ISBN-10: 4480423648
  • ISBN-13: 978-4480423641
  • 発売日: 2007/9/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:文庫
 余りに作家個人のヒストリーと長編のイメージが強烈な三島であるが、本書は余り一般的には有名でない小品や評論も含んでおり、結果的にその分この人特有の強烈な「濃度」も薄いため、ライトな読者も読みやすいだろう。ただ、そもそもこの選集の企図した「怪談」として読むと正直余り上手なデキではない作品が多いので、怪奇小説を期待する読者は要注意だ。本書で幾つか取り上げられている狂者オチというのは上手く纏めるのが難しい反面、プロットが何でもありになってしまうため、やっぱり評価は渋くせざるを得ない、というのが個人的な意見なのだが、そんな僕は小説作品よりも三島の評論や編者の解説の方に非常に刺激を受けた。

 「作品世界の未来の終末と現実世界の終末が、時間的に完全に符号するということは考えられない」(349p、「小説とは何か」より)と明瞭に書いた作家にとって、この二つの世界の間の緊張において「書く」ということが創作だったという。この言葉は「豊饒の海」三巻の脱稿時の評論のものであるが、ここまで明晰に自分の創作スタイルを意識しておきながら、同四巻入稿時に三島はこの二つの世界を一つに結ぶことを意図したような死を選ぶ。そんな矛盾したメンタリティは独特なオカルト志向にも現れており、「お化けや幽霊を信じていた」(262p)と泉鏡花を揶揄しつつ、自分はというと実生活で澁澤龍彦などを呼んでコックリさんの会を開き、「ニ・ニ六の磯部浅一が邪魔して失敗した」と大真面目で呟いたりしている。(このあたりのエピソードは本書解説に詳しい。)

 彼を篠山紀信が写した写真集を思い起こしても分かるように演劇的メンタリティの強い作家だったことは間違いなさそうだが、恐らく本人は大真面目でこの矛盾を生きたのではなかろうか。結局彼が書いた狂気や霊を巡るお話よりも、自身で創り上げた「作家・三島由紀夫」のエピソードの方がよっぽど味が濃厚だという点が、少なくとも「怪談」に関してはこの作家の限界だったのだと思う。
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