アンディ・ラウが、趙雲に扮した香港映画。
「レッドクリフ part2」と同時期に公開されたため、
隠れて目立ちませんでしたが、まさに「隠れた名作」だと個人的に評価しています。
これまで三国志の映像作品は何本かありましたが、
やはり、あの世界を映画で表現するのは大変難しいようで、
なかなか満足いくものに巡り会えませんでした。
(レッドクリフにも、どちらかといえばガッカリさせられたほうです)
しかし、本作は不思議と心に残り、何度も観返しています。
三国志の魅力のひとつに、滅びの美学というか、
人物の生き様・死に様があると思うのですが、
この映画は、しっかりとそれを描いてくれていると思います。
趙雲を主人公に据えたサクセス・ストーリー仕立てで、
原作とはかなり違いますが、一応大筋では三国志の流れに沿って展開していきます。
関羽、張飛、曹操、孔明らはチョイ役ですが、なかなか魅力的に描かれています。
趙雲が晩年戦う相手に、韓徳という敵が登場します。
原作の三国志では難なく斬られた彼ですが、この映画では
それなりの将軍として描かれていて、生き様が愚直で男らしい。
趙雲の副将・トウシにもスポットが当たりますが、いい味を出しています。
これまで、この2人をかくも魅力的に描いた作品があったでしょうか。
狂言回しを務めるのが、サモ・ハン演じる羅平安。
架空の人物ですが、三国志の世界を一歩離れた目で見ているような、
我々凡人と目線が近い、なんとも魅力ある人物でした。
が、ネタバレになるのでこの辺に留めておきます。
本作のダニエル・リー監督は相当、三国志に思い入れの深い人ではないでしょうか?
おそらく、まだまだ描き足りないところはあったでしょうが、
敢えてバッサリと切り捨てるところは斬り捨て、「1本の映画」として完成させたのだと思います。
万人受けはしないかもしれませんが、三国志ファンを自認する方には、是非一度観てほしい一本。
何か残るものがあるはずです。あまり触れられませんが、音楽も秀逸です。