1983年8月に徳間書店より刊行された「三国志演義」の第一巻と第二巻の合本として改定、文庫化されたもの。作者、羅貫中は三国時代からかなりかけ離れた明代の人で、「正史三国志」を講談風にまとめあげたという意味では最功労者と言ってよい。何しろ、現在出回っている三国志関係の本はこれを通過せずには語ることができないのが現実で極めて貴重である。また、他の「三国志」を読んだ方には是非これを一読してもらいたい。三国時代から明代までかなりの時間が経っているので、使われる武器などが当時存在しなかったというズレも生じているが、それは仕方の無いことであろう。文章はいささか漢文をそのまま翻訳したような形をとっているので、人物の詳細や場面の飛躍に読みずらさを感じるが、慣れてくると意外に一気に読める。英傑たちが次々と出てくる中、始まりは「桃園の誓い」から始まるので、劉備たちの姿も待たずして見られるのが嬉しい。ただ、まだ諸葛亮孔明は出てこないのでご辛抱を。各章の終わりが「さて◯◯の運命やいかに。それはまた次回で」と決まり文句がつくのが講談本らしくて、つい、先を読んでしまうのだから面白い。このあと合本になって全4巻になっている。