文庫化されて2巻が出て以来、久しくなったが2巻目で予測していた通り実に面白くなってきた。しかも、これは今までの羅漢中「三国志演義」やら吉川・横光・柴田・陳、その他諸々の三国志とは全く違う。人物が丹念に書き込まれ、いちいち、な〜るほどと感心してしまうくらい現実的に正史三国志を巧みに小説化したといっていいと思う。皇甫嵩や朱儁ほか、なかなか素晴らしい将であるにもかかわらず何故、覇をとなえることができなかったのか、事実を書いているだけですよと言わんばかりの見事な筆致で描かれている。一応書いておくが、この巻は黄巾の乱の真っ最中から始まり霊帝が崩御、董卓が都を洛陽から長安へ遷都し、山場は袁紹と袁術の確執の出来上がり方まで書き上げること非常に丹念である。最期にやっと曹操・公孫サン・劉備が出てくるところで終る。構成は肉太で飽きることがない。ただ、出てくる単語が宮城谷流で難しいのでレッドクリフからこれに特攻するのだけは止めておいた方がいい。きっと、この巻で疲れ果ててしまうだろう。でも、三国志ファンであるなら一読すべし。巻末の当時の仏教思想についての書き下ろしは陳瞬臣の秘本三国志をお読みの方には解かるであろうが、いかに中国の宗教と政治の密接な関係があるかを物語っていて、次巻にも引き継がれていくのでこちらも楽しめる。こんなに濃厚に書いておいてさて、三傑が揃ったら一体どんな進み具合になるのだろうと楽しみだ。また村上豊の挿絵が雰囲気をとても盛り上げており素敵である。4巻は同時に発売されたが5巻以降は今年2010年10月刊行、7巻以降は毎年1巻ずつ刊行予定とのことで楽しみではあるが、かなりじらされそうである。