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30 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すがすがしい青春と現代に通じる社会批評,
By tttabata (大阪府堺市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 三四郎 (岩波文庫) (文庫)
高校生時代に読んだのを、還暦も過ぎてから必要があって読み返した。明治も終りに近い1908年の作品であり、福岡の田舎に生まれ熊本の高等学校を卒業して東京の大学に入った青年、三四郎の恋は、現代からみれば、あまりにも淡泊と感じられなくもないが、その生き方のすがすがしさには、読者の年齢と時代を越えてひかれるものがある。三四郎に似た気の小さい青年の恋には、いまでも、この作品に描かれているような側面があるのではないかとも思われる。その意味で、これは、まさに古典のひとつであろう。ヒロインの美禰子が三四郎と交わす会話は、いかにも簡潔であるが、彼女の因習にとらわれない性格と知性をよく表わしており、いまなおモダンさを失わない。彼女が三四郎に与える「ストレイシープ」というなぞめいた語は、この物語を幻想的に貫いている。また、作者が登場人物の口を借りて展開する社会批評は、現代にも通じる鋭さを持っている。たとえば、広田先生が、これからの日本についていう「亡びるね」という言葉。また、同先生が述べる昔の青年と現代の青年との比較、「近頃の青年は我々の時代の青年と違って自我の意識が強すぎていけない」など。高校生から中高年まで、年齢に応じた楽しみ方のできる好作品といえよう。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ストレイシープという呪文,
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レビュー対象商品: 三四郎 (岩波文庫) (文庫)
夏目漱石前期三部作の初作。僕は漱石の作品中では一番好きである。後期の作品ほどに人間に深刻さや暗さはなく まだ どこかに坊ちゃん等の明るさが残っている作品だ。非常に さっぱりした作品と言えるかもしれない。 話は 田舎者の三四郎が東京に出てきて 都会に翻弄されつつ 戸惑いながら淡い恋をするという 非常にライトな筋である。よくある話と言ってよい。 但し それでも 所々に見られる はっとするような「暗さ」が散見されることも確かである。「偉大なる暗闇」先生にしても 滑稽味を帯びながらも自分の若い頃を語る部分に見せる「暗闇」。鉄道自殺を目撃する場面など、既に漱石の後期作品への 布石が見えると言っても良いかと思う。 美弥子が最後に呪文のように唱える「ストレイシープ」という響きも素晴らしい余韻だ。 しかし それでも 基本的には 爽やかな青春小説である。今読んでも全く古くないし もっと言うと 「新しい」作品である。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
解説がいい、鑑賞(感想)がいい,
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レビュー対象商品: 三四郎 (集英社文庫) (文庫)
この集英社文庫版は、解説を小森陽一、鑑賞(感想):三田誠広が書いてる。これがたいへんに良かった。 今回は解説を読んでからポイントを押さえて読んだこともあって、新しい面白さがあった。 また、「女ことばはどこへ消えたか」小林千草/光文社新書 を読んでいたために、会話のニュアンスがよくわかった。(今とはかなり使い方がちがう) 「三四郎」は何度も読み返している小説であるが、青春小説、恋愛小説として読んだことがなかった。 では何を読んでいたのかというと、あの時代の東京を読んでいたのだと思う。 解説の小森陽一氏が書いているとおりで、「東京以外の読者には、最新の首都の空気を呼吸できるようにする」という漱石の意図に忠実な読者だった。 明治41年から遅れること百年。 「三四郎」を読むたびに、今ではもう感じることができなくなった新しい空気を追体験することができて、単純に嬉しい。
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