著者は20代で出会い系を使ったフリーセックス生活を経験し、31歳でAVデビュー、その後AV監督の溜池ゴロー氏と結婚、ライターとして活躍している川奈まり子。
あまたのAV女優や風俗出身者がセックステクニックの本を書いているが(このベスト新書にもたくさんある)、それらの本で奨励されているセックス・テクニックをこの本はほぼ全面的に否定している。セックスで女が気持ちよくなるかどうかは、どこをどう触るかではなく、(女の側が)相手に惚れているかどうかで決まる、という立場だ。セックスは性器ではなく、性欲でするもので、性欲は惚れることで生じる。したがって、テクニックを磨くより、まずは惚れさせることが肝心である。
さらに、「彼女がいつイッたかわからなくても、気にしないことです」(156P)とまで言う。つまり、オルガスムスすらも、必ずしも重要ではないということだ。オルガスムスや「潮吹き」は単に肉体の生理的な反応であって、気持ちよさ(あるいはセックスの価値)と一致するとは限らない、とのこと。
三十代以上の「熟した」女性のパートナーたる中年以降の男性に対しては、テストロステロン(男性ホルモン)の分泌をうながして、男らしさを維持せよ、というアドバイスだ。男性らしさは、同時に暴力性などの短所にもなるが、人生経験で制御できるので、中年以降の男性こそ男らしくあってほしい、とのこと。男らしさを維持する方法については、読んでのお楽しみということにしておく。
履歴に似合わない(あるいは、だからこその)、著者の穏健な倫理観に好感が持てる。