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タイトルの「三十九階段」の謎が重要になってくるのは物語の最後の局面で、作品の大部分はハネーが追っ手を幸運や機知によってかわしていく姿を描写することに費やされています。
ハネー自身その逃避行を楽しんでいることもあり、ビクビクと怯えながらの逃亡というよりは使命感に突き動かされた力強い逃亡で、読んでいるこちらにもその雄々しさというものが伝わってきます。
また、ハネーが遮蔽物のない田舎の草原をただ一人逃げていく姿などは非常に映像的であり映画化したいとヒッチコックが考えたのも頷けます。
第一次世界大戦のドイツ・フランス・イギリスの緊張を背景にしており、発表されたのが1915年ですから当時の人はどのようにこの小説を受け止めたのかも気になるところです。
ヒッチコックなどによって3度も映画化され、数多くの作家に影響を与え続けてきた、冒険小説の古典にして不滅の傑作。今なお世界中で読み継がれているのは、こんな台詞に魅せられるからだろう。
「私は常識からはずれたことならなんでも信じます。信用しないのはありきたりのことだけです」
ヒーローになる夢は常識はずれだが、信じていれば強さに変わる。自分自身を信じることこそ、人生を心躍る冒険の舞台に変える唯一の方法。
作者は、そう言いたかったのではないだろうか。
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