中沢さんはキリスト教のことを語らせると冴える。突き放しているというか、対象化できている感じ。これまでも『はじまりのレーニン』『宗教入門』などで痛快な議論を読ませてもらったけど、なんと今回はその理論をビジネスに直接役立てちゃおうという暴挙にちかい企て。
ざっくりいえば、三位一体モデルは世の中の仕組みを理解する上で、とても役立つ、と。資本主義の場合は貨幣が聖霊に相当し、聖霊が自由に動き回ることで価値を増幅させてしまう、と。例えば教育であるならば「父は成功や幸福という概念、子は予備校、聖霊は人気教師」、広告業界であるなら「父は企業の社会的価値、子は企業、聖霊は広告代理店」、スポーツならば「父はルール、子は選手、聖霊はコロシアム」など《増殖力と幻視力と社会的コントロールという三つの原理が、がっしりと組み合わさって、わたしたちの世界はつくられていると言っても言い過ぎではないわけで、その意味では「三位一体モデル」は、人類に普遍的な思考模型なのです》(p.102)。
結論的に言えば、どの業界も《ものごとに一貫性や同一性を与える原理》である父の存在が希薄であり、実は、いま社会をコントロールする原理が探しもとめられているんじゃないのか、というあたりが問題意識ではないかと思うのです。でも、一般論に広げる前に、個々の業界の「三位一体モデル」は何かを考ることが重要なんじゃないか、みたいな。