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三人の女・黒つぐみ (岩波文庫)
 
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三人の女・黒つぐみ (岩波文庫) [文庫]

ムージル , Robert Musil , 川村 二郎
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

愛する少女トンカの不貞と妊娠.疑いようもない事実を前に困惑しながらも,恋人の青年はなお不貞を否認する彼女の言葉を信じようとする.限りなく哀切な愛の物語「トンカ」をはじめ,「グリージャ」「ポルトガルの女」の三篇からなる短篇集『三人の女』に,日常世界への神秘の訪れを語った短篇「黒つぐみ」を併収.

内容(「BOOK」データベースより)

愛するトンカの不貞と妊娠。疑いようもない事実を前に困惑しながらも、恋人の青年はなお不貞を否認するトンカの言葉を信じようとする。限りなく哀切な愛の物語「トンカ」をはじめ、「グリージャ」「ポルトガルの女」の3篇からなる短篇集『三人の女』に、日常世界への神秘の訪れを語った短篇「黒つぐみ」を併収。

登録情報

  • 文庫: 242ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1991/4/16)
  • ISBN-10: 4003245024
  • ISBN-13: 978-4003245026
  • 発売日: 1991/4/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 閑居人 トップ100レビュアー
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日本の読書界では、ローベルト・ムジールは、もう忘れられた作家なのだろうか。私は、時折、彼の作品を思い出し、無性に読みたくなる。
十代の終わり、神田の「田村書店」で、「Drei Frauen(三人の女)」を見つけたときは、とても嬉しかった。独和辞書を片手に、ゆっくりと読み出したときの感動を忘れることはできない。
三つの物語の中で、「グリージャ」と「ポルトガルの女」は、アイザック・ディーネセンのゴシックロマンを読むときのように、めったに飲むことのできない酒を堪能するように、ただ、ひたすら楽しむことができる。
しかし、「トンカ」になるともう全く勝手が違う。身分違いの青年と娘。青年の旅行中に何者かによって妊娠し、しかも重篤な性病を移されて、身重なまま死んでゆく娘と何とかして彼女を信じようとする青年の愛の物語である。普通に考えれば、99%、男は、どんな事情があったにせよ、女に裏切られたのだ。しかし、彼は、残る誰も証明できない1%の可能性に賭けようとして煩悶し続ける。
私は、ふと、声をかけたくなる。「トンカは、精霊によって身ごもったのだ。性病というのは、何かの手違いだろう。神にも、間違いはあるものだ」もちろんそんな言葉が、彼にとって何の役にも立たないことは分かりきったことだ。「夏の日にふと舞い降りた一片の雪」。それが、「トンカ」であり、この一対の男と女の不思議な愛の物語なのだ。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
 翻訳を通してでも、文章の美しさがうかがえる。分かるはずがない、ということはない。もっと下手な翻訳家の文章でも、同様に感じただろうから。技巧によるものではなく、精神的な彫琢の鋭さがそう思わせるのだろう。従って格調の高い作品であるとは言える。しかし文学としては未完成だ(ただし恐ろしく高い基準に照らしてだが)。
 いずれの作品も、もっと直截的な叙述なら、割とすっきりした筋立てに、皮肉な落ちのついた、モーパッサン風の小説になっていた(逆にいえば、さらっと筋を追えば普通の小説として十分に面白いとは言える)。そうなっていないのは、評論家が思いたがるような、現実の厚みとか形而上的な意味合いの捉え難さとかいったものではなく、ムージルその人(主人公ではない)が現実を素直に受け入れることを拒みたがっているようにしか思えない。それも、あまり高尚とは言えないかもしれない理由で。そこを混同したまま、普通の小説ではない部分を、文学的価値として受け止める気にはならないのだ。故意に難解にしているとは思わないが、分析を尽くしたうえで残った不可解さ、という気はしない(もちろんその分析を文章にする必要はないにしても)。つまりこれらのストーリーを分かりやすい客観的な小説として投げだしておかない理由が、現状では私にはつかめない。
 人生はまっすぐに向きあっても十分に複雑だ。彼自身がその点を自覚することが先決問題ではなかろうか。
 ただ、これで一層、入手困難な『特性のない男』を読んでみたいという気持ちになった。彼の作品の難解さが人生に対するあいまいさによるものでなくなったら、素晴らしい作品になっているはずだ。
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