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万華鏡―ブラッドベリ自選傑作短編集 (サンリオSF文庫)
  

万華鏡―ブラッドベリ自選傑作短編集 (サンリオSF文庫) [文庫]

レイ ブラッドベリ , 川本 三郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

航行中の宇宙船が、事故で破裂した。乗組員たちは、宇宙空間に投げだされ、離ればなれに漂流しはじめた。やがてやってくる緩慢な死。それも確実にやってくる死に向かって遠ざかっていく。それぞれの人生が終わろうとするとき、心残りな思いが、まるで万華鏡のように頭の中を駆けめぐる…。表題作をはじめ23編の珠玉の短編を収録した本書は、SFの抒情詩人レイ・ブラッドベリの不思議に美しい恐怖の世界が、いま、ここで満開となっている。

登録情報

  • 文庫: 609ページ
  • 出版社: サンリオ; 〔新装版〕版 (1986/11)
  • ISBN-10: 4387861657
  • ISBN-13: 978-4387861652
  • 発売日: 1986/11
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 455,646位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ぼんぼん VINE™ メンバー
約600ページもあり文庫本にしてはかなり厚みがあります。ここにブラッドベリ氏の短編が26編収められているのですが、どれも傑作です!
これらのうち、実はいわゆるSFと呼ばれるような短編は意外に少ない、否、彼の書くSFは、一般的に想像されがちな、奇想天外な道具や宇宙での非現実的な生活などをフィーチャーしたものというよりは、もっと人間の内面、こころをフィーチャーした普遍的なお話たち。SFとか幻想小説とか、ジャンルではくくることのできない奥深さ。
だから驚くべきことに、2009年の今になって読んでもまったく古びていない!どころか今に至っても、ときには人間のこころの奥底のブラックホールを開け放ちもうれつな嵐を呼び起こして新鮮な流れを呼び込み、
ときには深くあたたかい毛布をふんわりかけてこころの氷を溶かしてくれるのです。
60年代から21世紀の今まで、人間はどれほど進歩したでしょうか?
便利な道具もたくさん発明されたけど、その代わりに失ったものも多い
という実感は今の世でこそだれにでもあるとは思います。
が、彼は半世紀も昔から、するどいメスのような目で移ろいゆくものとそうでないものを見極め、
詩的で美しい普遍的な言語のなかで、小さな物語たちをつむいでいます。
時代の移り変わりや老いなど、時の流れとともに失われていくもの、なにかを得るかわりに失われていくもの、そういうものに彼は焦点をあてているのかもしれません。それゆえの儚さ、悲しさ、そして、やさしさ。
こんな芸当が人にできるものなのか?!まちがいなくお気に入りの1冊、殿堂入りしました!
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
サイボーグ009の「どこへ落ちたい?」の元ネタは

レイ・ブラッドベリの万華鏡だと聞いた。

とても高価なので図書館で借りようかな。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ページ数616ページ。裏表紙には何故か表題をはじめ22の短篇とあるのですが目次を数
えると26タイトルあります(序文、たんぽぽのお酒のだぶり、訳者あとがきをのぞく)。

目次
序文 7 ギルバート・ハイエット氏による解説と評論。
(本書の評価ではなく、ブラッドベリと作品全般に対しておもうこと)。

アンリ・マチスのポカー・チップの目 13
草原 33
歓迎と別離 63 
メランコリイの妙薬 79

鉢の底の果物 101
イラ 123
小ねずみの夫婦 149
小さな殺人者 161
国歌短距離ランナー 197

すると岩が叫んだ 221
見えない少年 265
夜の邂逅 285 夜のかいこう
狐と森 303
骨 333 

たんぽぽのお酒 365 タイトル
イルミネイション 367 
たんぽぽのお酒 380 
石像 385
夢みるための緑のお酒 401

万華鏡 427
日と影 447
刺青の男 463
霧笛 489
こびと 505

熱にうかされて 531
すばらしき白服 545
優しく雨そ降りしきる 593
訳者あとがき 606

万華鏡のラストページより抜粋。

みんな孤独だった。彼らの声は、星の深淵にひびいていく神の言葉のこだまのように消えていった。
隊長は月に落ちていく。ストーンは流星群と一緒だ。あそこをいくスチィムソンとアプルゲイトは
冥王星の方向だ。あそこのスミスとターナーとアンダーウッドの三人は、子供のころ、
これはなんの形だろうと長いこと考えて遊んだ、あの万華鏡のかけらのように遠くに散らばっていく。

そして俺は? とホリスは思った。俺に何ができる? 
ぱっとしない、むなしい人生をつぐなうためにいま何ができるのか? 俺が長年かかって集めてきて、
それでいて自分のなかにそんなものがあるとは気がつきもしなかった、あのいやしい心。

それを償うために、なにかひとつでもひとによいことをすることができたなら! だがここには自分しか
いない。ひとりきりで、どうしてひとによいことができる! だめだ。明日の夜、俺は地球の大気圏に
ぶつかるだろう。

おれは燃えるだろう、と彼は思った。燃えつきて灰になり大陸にばらまかかれのだ。その時、
おれは役に立つだろう。小さな灰でも灰には変わりない。大地の一部になるのだ。

彼は、弾丸のように、小石のように、鉄のおもりのように、勢いよく落ちていった。もはや彼は
一個のものだった。悲しいとも嬉しいともなんとも思わない。ただ、すべてが終わったいま彼は
ひとつでもいいことをしたかった、自分ひとりにしかわからないいいことを。それだけが願いだった。

大気圏にぶつかったら、俺は流星のように燃えるだろう。
「ああ」と彼はいった。「だれか俺を見てくれるだろうか」

田舎道を歩いていた小さな少年が空を見あげて叫んだ。「お母さん、見て! 流れ星だ!」
輝く白い星がイリノイ州のたそがれの空を落ちていった。
「願いごとをするのよ」と母親がいった。

「願いごとを」

 
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