この作品はJ・A・シーザー主催の演劇実験室・万有引力の舞台で使われた楽曲を主に収録しています。
テレビアニメ少女革命ウテナで使われた曲をいくつも含んでいますが、それらは今まで発売されたCDの中には収録されていない原曲バージョンです。
これらの曲は光宗信吉さんが編曲したバージョンや後にアルバム「天使創造すなわち光」にて原曲をベースにシーザー自身が再編曲したものとも違う独特の存在感を放っています。
また、それ以外にも同時期の90年代中後期に舞台上で使われていた曲をいくつか収録していてこれらも非常に魅力的な楽曲です。
そして、上記の楽曲群を聞いて感じられるのは劇伴音楽家としてのシーザーの本質です。
少女革命ウテナで使われた曲はウテナという世界観の中である程度の統一、脱臭がされていましたがこのアルバムでは原曲ならではの荒々しさや、はらんだ毒が剥き出しに襲い掛かってきます。
その結果、私はこのアルバム収録の楽曲が使われた舞台を一つも見たことがありませんが、深い深海から重く響いてくるような電球式アンモナイト、暗く金属的なカスパーハウザーといったようにその舞台それぞれのイメージがなんらかの形でおぼろげにながらも伝わってくるのです。
万有引力時代のシーザーの楽曲はその特徴的な歌詞が聞いているものに凄まじいインパクトを与えますが本当の意味で特徴的なのは歌詞ではなく、シーザーの音楽世界そのものなのでしょう。
そして特筆すべきなのがボーナストラックの来たれ暗黒~大滅亡です。
この曲は万有引力の前身、演劇実験室・天井桟敷の1977年公演「中国の不思議な役人」で
使われた楽曲でシーザー自らがボーカルをとってます。
比較的短めの曲でシーザーのボーカルも少なめですが、その艶やかな声を楽しむには十分であり非常に貴重な音源化です。
これが3000円ならば買うしかないでしょう。