ある日突然タイムトラベル能力に目覚めた後輩の七花。主人公の柊和泉がそのことを知り、半ば強引に七花と一緒にタイムトラベルを行います。かといって、未来で起こる大事件を未然に防ごうとしたり、過去にいって失敗をやりなおす、という感じでもありません。いわば「遊び」に行くようなものです。もちろん「過去」に行くことで「現在」を変えようとしたりはしますが、ある種の「使命感」めいたものは全くありません。
主人公の柊は、高校三年にもなりながら、日常に退屈を覚え、受験勉強にも手がつかない毎日。いんちきめいた手法で作った部活を潰されないために、後輩の七花とともに新入部員を探すが、状況は芳しくない様子。なんていうか、柊がすごく刹那的な生き方をしてるんですよね。「今」を楽しく過ごしたいという感じで、七花のタイムトラベル能力のことを知っても、不思議に思う前にわくわくしています。また、自身の能力について慎重な七花とは対照的に異なる時間軸上で積極的に行動する点もおちゃらけた印象を強くすることと思います。まぁ、それが七花との出会いにつながったりするんですが。
しかし七花が可愛い。柊のお願いを渋々ながら引き受けたり、柊の秘蔵の品をぶん投げたり、疑うふりして甘えたり。自分を縁日の金魚にたとえて柊に詰め寄るシーンは、ほんの数行ながら自分のお気に入りシーンのひとつです。最近のラノベは、唯我独尊系のヒロインが多いので、こういうタイプは逆に新鮮。
一冊でまとまっているため、続きがあるかはわかりません。が、自分としては続いて欲しい。そんな一冊です。