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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
あまりに苦しい。あまりに切ない。,
By CB - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 七月七日 (単行本)
軽薄な戦争批判のドラマの溢れる昨今、この様な小説が新たに生み出されたのは驚くべき事である。これはあまりに重苦しく、あまりに切なすぎる。 氏の作品は、特に日本軍と米軍の兵士が接触する場面が多い。 両軍の兵士の根本的な差異は余りに大きく、深すぎる。 特に氏は言語・風習といった観点からの描写には定評があるようである。 日米の苦しみを丸ごと引き受けたかのような日系2世の語学兵が主人公の今作は、特にそれを余す事なく描き切っている。 深い断裂に苦しみ、仲間を失い、どちらの国にも憎まれる日系2世の「ショーティ」が結末に下す決断は余りに非情だ。 しかし、もし結末まで読んだのなら、彼はそうせざるを得ないのだと誰もが必ず理解するだろう。 救いもなく、報われることもない、胸に焦付くようなこの戦争小説は、昨今の日本人が到底生み出す事のできない傑作だ。 軽々しく共感や感動などできない。 しかし、軽薄さを廃し、ありきたりな戦争小説を超越したこの様な作品が、もっと広く読まれる様に願う。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
戦後世代が書いた戦記物の傑作,
By サクラサイタ (奈良県奈良市) - レビューをすべて見る
Amazonが確認した購入(詳細)
レビュー対象商品: 七月七日 (単行本)
日系二世の語学兵「ショーティ」(日本語なら「チビ」?)を主人公にサイパン玉砕戦を描いた作品。「日本人の子」でありながら「アメリカのために全力」を尽くさなければならぬという設定には「ナルホド」。後半は予想もしなかったストーリー展開で、最後は泣かせます。夕方から読み始めて、明日は仕事だというのに午前3時までかけて一気に読み切ってしまいました。日米国民双方にとって戦争がいかに苛酷であったかが、フィクションならではの深い心理描写で描かれています。はっきり言って傑作…とは思うけど、どうして、僕より年下の作者がこんな小説を書くことができるのか。「戦後世代」として深く考えさせられる一作でした。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
またひとり素晴らしい作家と新たに知り合えた。この出会いを素直に喜びたい。,
By
レビュー対象商品: 七月七日 (単行本)
日系二世の米兵ショーティは語学兵としてサイパンの戦線にいた。見かけが「ジャップ」の彼は、“同胞”である米軍兵士に猜疑の目を向けられることも珍しくはない。日本軍の敗色が濃くなってきた夏、サイパンで玉砕覚悟の日本兵や民間邦人をなんとか投降させようとショーティは奔走する…。 太平洋戦争が単に物量の多寡によって雌雄を決するという闘いであっただけではなく、和洋双方の精神の激しいぶつかり合いでもあったことを、日系米兵という存在を触媒として描いた力作です。堪能しました。 この小説の中で日本兵や民間邦人とショーティとは、戦争遂行における和魂についてたびたび緊張感溢れる論戦を繰り広げます。「生きて虜囚の辱めを受けず」の思いが骨の髄まで染みついて閉ざされた日本人の心を、理をもってこじ開けようとするショーティ。彼が口にする言葉は、ときに過半を救うために一部を犠牲にするというギリギリの戦法です。 義のための戦争という美名のもとに投入された多くの兵士たちが、身も心も疲弊した果てに、自棄の気持ちへと駆り立てられていく。もうこの戦争には後がないという時期のやりきれないほどの焦燥感が南方の兵士たちを取り巻いています。そうした時間と空間にある戦争というものの極度に張りつめた様子が、乾いた筆致で見事に描かれています。心に痛みを伴いながら読みました。 同じ作者の他の作品も手にしてみたいと思わせるだけの力強さをもった作品でした。
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