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太平洋戦争が単に物量の多寡によって雌雄を決するという闘いであっただけではなく、和洋双方の精神の激しいぶつかり合いでもあったことを、日系米兵という存在を触媒として描いた力作です。堪能しました。
この小説の中で日本兵や民間邦人とショーティとは、戦争遂行における和魂についてたびたび緊張感溢れる論戦を繰り広げます。「生きて虜囚の辱めを受けず」の思いが骨の髄まで染みついて閉ざされた日本人の心を、理をもってこじ開けようとするショーティ。彼が口にする言葉は、ときに過半を救うために一部を犠牲にするというギリギリの戦法です。
そしてこの対話の中で、戦争における義や日系米兵の置かれた立場といったものが、実に不安定なものであることが炙り出されていきます。
義のための戦争という美名のもとに投入された多くの兵士たちが、身も心も疲弊した果てに、自棄の気持ちへと駆り立てられていく。もうこの戦争には後がないという時期のやりきれないほどの焦燥感が南方の兵士たちを取り巻いています。そうした時間と空間にある戦争というものの極度に張りつめた様子が、乾いた筆致で見事に描かれています。心に痛みを伴いながら読みました。
同じ作者の他の作品も手にしてみたいと思わせるだけの力強さをもった作品でした。
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