内容紹介
光を受けて輝く様が宝石にも例えられる七宝。この技術は古代より世界各地で使われ、日本でも古くから建築や家具、道具類と、様々なものを彩ってきました。
武士の時代が終わった明治期、その身の回りの道具を作っていた職人たちは万博への工芸品出品に活きる路を転じ、卓越した技術と感性を注ぎこみました。七宝はその代表的な分野で、緻密さと海外に向けた意匠が大いに受け、一躍日本趣味流行の立役者となりました。
本書ではその至高の細密と美の世界を、写真と文章でひもときます。まずは京都の名工・並河靖之の工房と遺された作品を、写真家・益永研司氏の写真と、並河の元を訪れた英国人写真家ポンティングの紀行文によりご紹介、凛とした時代の美意識とともにある明治七宝のたたずまいを伝えます。ついで、釉薬が描き出す、触れたくなるほど優美な名品を写真家・小泉佳春氏の写真でご覧頂きます。
また論考では、七宝の辿ってきた歴史的背景、海外で七宝がどう受容されてきたかの調査結果を紹介。さらに制作工程からは、七宝作品が綿密な技術の集大成であることを、改めてご覧頂きます。近代日本に花開いた優美の技をじっくりと味わえる一冊です。
著者について
歴史解説
小川幹生 OGAWA Mikio
名古屋市博物館 学芸員
日本工芸史
畑智子 HATA Tomoko
京都府京都文化博物館 学芸課 課長
工芸史・日本文化交流史
作品解説協力
村田理如 MURATA Masayuki
清水三年坂美術館館長、並河靖之有線七宝記念財団理事