子供だった自分が大人になり、結婚して、子供が出来て、その子供が学校に入ると、今まで知らなかった世界がどんどん増えていきます。
その中でも一番負担が大きいと感じられるPTAの話を中心にこの話は進んでいきます。
私も著者が書いているように、現行の日本の負担の大きすぎるPTAに対して甚だ疑問に感じることがあり、8割近くは共感を持って読んでいました。PTAなどは無駄も多く、共働きや父親が参加したくても参加するのは困難です。(アメリカなどは必ず仕事が終わった夜に会合があるので父母参加がほとんどです。)改革は必要だと思います。
ただ残り2割は、おかしいな〜、それは違うんじゃない?と思いながら読んでいました。
多分著者も主人公の陽子の意見を全て自分の意見として代弁させたのではないとは思いますが、読んでいるとどうしても主人公の意見が正論っていうごり押しに読み取れて、その違和感は感じました。
これを読んで思ったのは、PTA、自治会、サッカー少年団を中心に、その活動の中でも無駄な部分も多々あります。だがそれが全て無駄で要らない、単なる負担(重荷)という考えをもたれるのも、寂しいとも思いました。地域のコミュニティの大切さをこの数十年はないがしろにして、殺伐とした環境が増えているのもこの主人公陽子のような人が増えたせいもあるのだろうな〜と感じました。
お祭りにしろ何にしろ文化を育てるというのが大事なのに、その縁の下の力がなくなると、日本の伝統もどんどんなくなり、地域コミュニティもどんどん殺伐とします。
また本書でもサッカー少年団のコーチもボランティアと書いてありましたが、実際に私の知っている小学校の野球、サッカー、バスケのコーチは全てボランティアです。コーチたちも仕事があり忙しくても、自分の子供がその部に属していなくても、スポーツという文化を育てると言うこと、子供たちにそのスポーツを好きになってもらうために頑張っているわけです。そのような点に対して主人公があまりにも自己中心の考えしか持たないの、もっと理解力があればな〜と思った次第です。
文化や伝統(PTAの無駄な仕事が伝統と言うわけでなく、お祭りなどの行事のこと)は目には見えないものなので、このようなものを育てるのはお金ではなく、どうしても見えない力が必要なのですから・・・。
いずれにしろ、そのような子供を取り巻く親の世界を面白く書いている小説が少ないので興味深く読めました。
評価を若干下げたのが、上記のように陽子の理論を最終的に正論のように結びつけるのが鼻についた点。あまりにも予定調和的な登場人物ばかりで、もう少しストーリーに深みがあった方が面白かった思った点で下げました。若干厳しい評価になってしまいました