シベリア残留日本軍兵士の強制労働の様子がわかりやすく書かれている。過酷な環境でもしぶとく生き抜こうとがんばる日本兵には頭が下がった。びっくりしたのは、8月19日の極東赤軍との停戦会談で関東軍参謀が、食料の不足や本土へ送還させる輸送船が用意しきれないため、60万人の将兵を受け入れ態勢が整うまで満州やソ連極東地方に残留させて欲しいと申し出る場面だ。我々は今まで労働力不足解消のためにソ連が各国の兵隊を終戦後も酷使したと思い続けてきたが、実情はこういうことだったのだろうか。収容所内で日本人将校が部下の兵隊たちの食料を日常的に横取りしたり、戦争中同様一方的に暴力をふるい続ける様子も書かれていてショックを受けた。著者は読者にもっと賢くならないとまたとんでも局面にさらされると言いたかったのではないだろうか。