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一茶 (文春文庫)
 
 

一茶 (文春文庫) [文庫]

藤沢 周平
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

生涯二万に及ぶ発句。一方遺産横領人という消しがたい汚名を残した男。俳聖か風狂の人か、あるいは俗事にたけた世間師か。稀代の俳諧師の複雑な貌を描き出す、著者渾身の力作長篇。解・藤田昌司
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

生涯、二万に及ぶ発句。稀代の俳諧師、小林一茶。その素朴な作風とは裏腹に、貧しさの中をしたたかに生き抜いた男。遺産横領人の汚名を残し、晩年に娶った若妻と荒淫ともいえる夜を過ごした老人でもあった。俳聖か、風狂か、俗事にたけた世間師か。底辺を生きた俳人の複雑な貌を描き出す傑作伝記小説。

登録情報

  • 文庫: 390ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2009/4/10)
  • ISBN-10: 416719242X
  • ISBN-13: 978-4167192426
  • 発売日: 2009/4/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 宣長さん トップ50レビュアー
形式:文庫
 俳聖芭蕉と違って、一茶は親しみやすい俳句を作る俳人であるという常識をもつ我々である。何の説明もない「一茶」というタイトル。上(14章)・中(9章)・下(12章)の名称がない。これは一茶の評伝でもなく、俳句の紹介で終始しているのでもない。風狂の人として全国各地を行脚する放浪人として描かれている。「僧とも俗ともつかない薙髪の男」と原文にある。本書は評伝・伝記ではない。四国は讃岐金毘羅・観音寺、伊予松山に俳諧紀行しているが、こちら特有の地方色は表出されていない。
 ないものねだりをしてはいけない。作者の意図したものは、一茶の生き方「むしろ他郷で野垂れ死にすること」を願って旅しながらも、最後は故里にもどり、幾人目かの女を抱いて、六十五歳の生涯を閉じる。一茶の生涯は一体何だったのか。それは俗中の俗に流されながらも、生涯二万句を詠んで後世に残した【風狂人の俳諧魂】ではなかったか。
この小説を結ぶ一文は次のように何事もなかったように、何かの鼓動を感じさせて終る。

 雪はまだ降りやまずに、柏原の山野を白く包みこんで動いていた。 
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
負けるな一茶 2007/2/20
By フィラデルフィアン VINE™ メンバー
形式:文庫
いぶし銀のような筆を持つ名手藤沢周平による俳人小林一茶の伝記的小説です。あとがきによると藤沢周平が、結核療養中に小林一茶に興味を持ったようです。生涯2万句と多作であり、何でも詠んだ一茶ということである。作品では、郷里から江戸に出てきて、俳諧修行をし、晩年になっても、施しを受けながら旅を続けた一茶の姿が描かれています。当時の師匠に何とか取り入ろうとし、江戸で名を上げようとしたが、それも果たせず、郷里に戻っています。老いてから、老後の生活を心配し、弟の田畑の半分をだますようにして、取りあげています。また、老いてからも何人も若い嫁をもらうなどの好色ぶりも見られます。非常に俗っぽいといえば、俗っぽいですが、とても人間的であるし、年をとってからの敗者としての寂しさは、とても共感できるものがあります。サラリーマンなどは、我が身に引きつけて共感できるところがあるのではないでしょうか。藤沢周平作品は面白いですし、この本は、小林一茶のあまり知られてない一面を知り、その作品を知るのにとても大切な本だと思います。俳句に興味のある人には特にお薦めです。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By rock-c
形式:文庫
それがしは、藤沢周平著書読破に後何冊かに迫っている。
しかし、残りの本には何かしらの理由があって後回しになったものばかりだ。
その訳とは、「実在の歴史上の人物を扱ったものが嫌い」、先の「白き瓶 長塚節」、「回天の門 清河八郎」がそうだ。
しかし、嫌いと言えども、一旦著者の本を読むとその人物に引かれ嵌り、更にその人物の別の本まで購入し読んでいる。単なる「食わず嫌いか?」不思議で現金な者だ。
さて今回は「一茶」。

「小林一茶」については全く無知であった。生涯、何でも題材にし2万もの句をつくったという尋常ならざる風狂の俳人。2万もの句の中で確実に知っていたのはたかだか10句前後だ。情けない。
・大根引き 大根で 道を教えけり
・われと来て 遊べや親の ない雀
・雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る
・やせ蛙 まけるな一茶 ここにあり
・名月を とってくれろと 泣く子かな
・春雨や 牛に引かれて 善光寺
などなど

ところが、この人物、ここまで哀れな人物であったとは全く知らなかった。これは驚きだ。「目から鱗」というのはこういうことか?「無知」とはなんと情けなく、恥ずかしいことか。

■人物像:
現・長野県信濃町の農家の長男として生まれた。幼少に生母と死別、その後継母と合わず、15で江戸に奉公。職業を転々としその後何処で何をしていたか10年間消息不明。51で、夢であった「江戸の俳諧師」を諦め、生まれ故郷に無念の都落ち。
・秋寒や 行先々は人の家
・秋の風 乞食は我を 見くらぶる

ここまで住処も妻も持たず、食うや食わずの生活。継母、義弟と財産分けで大もめ10年。やっと定住場所を得、54歳で28の女子と結婚。妻、子供4人を次々と亡くし、再婚の妻には2ヶ月で逃げられ、その後3度目の結婚。65で他界。最後までお金や運に恵まれず貧乏、不幸連続の生涯。ここまで人物を知ると、句の見方も変わってくる。

「・・・そこのけそこのけ 御馬が・・」の“御馬”が、どうして“お馬”でなく“御馬”なのか、「名月を・・泣く子かな」、「親のない雀」の意味も理解した。

実は、今は無きそれがしの実家は、一茶の生まれ故郷からかなり近いところにあった(長野市の北、野尻湖のすぐ近く、黒姫駅がある信濃町)。駅で言うと3駅南である。そう、今に思うと極近。帰省の際のはいつも素通りしていたことになる。学生時代「近くである」ことはうすうすとは知っていたがその程度。一茶と良寛もダブっていた。しかし、これを読んだ後は思いっきり「一茶」について勉強した。即、別の本も注文した。

しかし、一茶の生涯は1763-1828年(明和〜文政の江戸時代)。明治維新もペリー来航も更にもっと後の時代。田舎百姓を追われた15の少年は江戸でさぞ苦労したことでしょう。

「mm−、“知る”とは楽しいことだ、読書の醍醐味ですかな?和尚 ハハハ・・」
さて、今年の夏、「一茶記念館」でも行って来よう。

■お薦め度:★★★★★(一茶の句の読み方が変わります、是非)
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