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一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
 
 

一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) [文庫]

志村 ふくみ , 高橋 巌
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

染織家志村ふくみ、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす。深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。

内容(「BOOK」データベースより)

百の植物に百の色が生まれる。自然界の恵みの色に惹かれ、望みの色を生み出すため一生をかける染色作家が、様々な人や色との出会いを語った大仏次郎賞受賞エッセイの新装改訂版。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 284ページ
  • 出版社: 講談社 (1993/12/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061962566
  • ISBN-13: 978-4061962569
  • 発売日: 1993/12/24
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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27 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
グローバリゼーションやIT革命という言葉を聞かない日がなかったほどの世知辛い時代に「一色一生」とはなんとも悠長な話だと思うかもしれません。

 著者は自ら、藍建てをし、糸を藍色に染め上げ、そしてそれを織りあげる工芸作家です。化学染料を使うのではなく、植物染料を利用し、いかに美しい色を出すか。そのことに真剣に取り組み、そのために一生を費やすのも辞さない。その姿勢で染め上げた糸を使い、織物を作るというのです。

 本書に見出されるのは、「藍を手がけることによって、植物が単なる色だけでないことを知り、植物の側のいい分、言葉にならない言葉や形態から何かをさぐろうとし、植物の言葉や様子をわかる耳や目を持ちたい」(19頁)という著者の姿勢です。自然を人間の背丈に合わせるのではなくて、自然へできるだけ歩み寄ろうとする姿勢が、本文中いたるところで感じられます。彼女からすれば、世界や自然をじっくり見据え、自然からの恩恵を「戴く」技こそが「ものづくり」なのでしょう。

 本文中に、工芸の仕事はひたすら「運・根・鈍」につきるのではと心情を吐露する箇所があります。「運」とは自分にはこれしかない、不器用で我が儘な自分はこれしかできないのだと思いこむようなもの。「根」とは、粘り強く一つのことを繰り返し繰り返しやること。そして「鈍」とは、工芸という表現自体が、絵や文章のように、じかの思いをぶちまけるわけにいかない「鈍」な仕事なのだということ。

 世相に煩わされるのでない生き方・態度、時代に翻弄されない一つの姿勢として、志村さんのような姿勢があると感じます。

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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
著者は染と織の第一人者であり、人間国宝。
前半の日記と随筆では日々の染め暮らしから得た雑感を。後半は家族とのかかわりについて語る。

職人でなく芸術家と自らを定義する著者の、染め・織への業の深さが感じられる。

母から離れて凝らした子供時代、離婚後母と住み、機を通して母との絆の再確認をした話はあるが、離婚した夫・子供は全く登場せず、それはそれらの人への配慮なのかもしれないが、心が痛い。
染めを通じて関わる植物への深い思いとひき比べて、染めとも芸術とも関わりのない人の切り捨て。

2才のとき養女に出された悲しみを離婚後も抱えていたのに、自分の子供たちを養父母に預けて自らは機に向かった、という。
もちろん様々の事情はあるに違いないが。
自分と同じ寂しさを子供の強制する激しさ。
これが芸術家というものか、と思う。

一方、染めを通して関わる植物への深い理解、心の寄せ方には涙が滲む。

桜の幹は花咲く前には桜色を染め、花びらは淡い緑色を染める話。
切り倒された100歳の榛の木が血に見まごう色のおがくずを切り株のまわりに散らしていた景色。

著者の作品は群馬県立近代美術館で年に1~2度公開されるそうだ。是非見に行きたい。

このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 宣長さん トップ50レビュアー
形式:単行本
 この人が人間国宝(重要無形文化財保持者)になつたのは1990年。植物染料を使った紬織の染織家である。自然界から染織家が色を吸い上げ、糸と織の中にそれを自在に、また入念に吐き出していく作業は、人が言葉の源泉において吸収しようと願うことから生じる表現行為と根本的に共通する。植物という生き物の生命を結晶させた色の織物を作る、表面の虔しさの下に燃えるような激しさを持っているのがこの人(雅)
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