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一神教の闇―アニミズムの復権 (ちくま新書)
 
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一神教の闇―アニミズムの復権 (ちくま新書) [新書]

安田 喜憲
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 756 通常配送無料 詳細
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一神教の闇
地球規模で進む環境破壊の背景に潜む宗教的価値観や文明観を考察した1冊。 対比して論じるのが一神教とアニミズム。超越的秩序の宗教と現世的秩序の宗教とも言い換えられる。前者は、神の国という幻想の世界を信じ、後者は目の前にあり、現実に存在する命ある世界を重視する。このように宗教・価値観に違いが生まれたのは、両者に力でコントロールする畑作牧畜、持続を重視する稲作漁労という文明の違いがあったためと解説する。アニミズムの世界観の復権を これまで、超越的秩序の宗教を持たない社会は不完全、野蛮、猥雑といった表現がされることが多かった。著者はそれを「大きな間違い」だと主張する。むしろ、「今日の地球環境問題は、目の前にある現実世界の生命倫理と地球倫理よりも、人間中心主義の倫理を重視することによって引き起こされた」として、一神教の“闇”の側面に光を当てる。 森や海、川、またそこに生きる生物を尊ぶ気持ちこそ、今日の地球環境問題解決に不可欠な要素である。著者は、市場原理主義に支配された現代文明を止揚し、地球環境問題の危機を回避するためには、現世的秩序に立脚した「美と慈悲の文明」「生命文明」を創造するしかないとして、アニミズムの世界観の復権を提唱する。 そのために日本がすべきことは何か。まずは、アジア・太平洋地域に数多いアニミズム文明の伝統を残す国々と深い友好関係を結び、「アニミズム連合」を構築してアニミズムの心を世界に広めること。さらに、自然が培ってきた英智を人間の暮らしに利用することで、自然に負荷をかけず、エネルギーを循環的に利用する持続型文明社会としての「ハイテク・アニミズム国家」を構築することである。こうして、世界の平和と繁栄、地球環境の保全に貢献すべきだと訴える。 アニミズム・ルネッサンスを最初に提唱した1990年以降、世界中の反論を受けながらも屈せず、アニミズム研究を重ねてきた著者の強い思いが感じられる。


(日経エコロジー 2007/02/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

人類は今、環境破壊と軍事紛争という二つの大きな課題に直面している。それはいずれも、一神教的世界観に支えられた畑作牧畜民によって引き起こされたものだった。彼らの文明のエートスである拡大への志向が、激しい自然破壊を引き起こした。同時に、家畜をコントロールするためには力が必要であり、その力の行使を正当化するために、超越的思考は畑作牧畜文明を形而上学的・倫理的にサポートすることになった。それに対して稲作漁撈文明は持続を重視し、江戸社会に見られる高度な環境調和型文化を築いてきた。そうした発想がどのように形作られてきたかを文明興亡史のなかに探り、環境考古学の立場から検証する。

登録情報

  • 新書: 238ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2006/11)
  • ISBN-10: 4480063315
  • ISBN-13: 978-4480063311
  • 発売日: 2006/11
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 放蕩息子 VINE™ メンバー
形式:新書
極論だらけの本である。大雑把にまとめてしまえば、「ユダヤ・キリスト教のような超越的秩序を求める宗教観が“諸悪の根源”で、多様で現世的な価値観を尊重する“アミニズム”の復権が世界を救う。」というのが、この本の主張だと言って良いと思うのだが、そうした主張の正当性を丁寧に論証していくような内容には乏しく、用語の定義や用法もあいまい、牽強付会やご都合主義、“論理のすり替え”も「てんこ盛り」になっている。
(そもそも、“アミニズム”の特性が「利他」とか「慈悲」とかにあると主張する一方で、それに対峙する存在としての“ユダヤ・キリスト教”“超越的秩序”“一神教”“畑作牧畜文化”に対して徹底的に不寛容で、攻撃的だというのは、自己矛盾ではないのか?笑)

特に前半、他の研究者の文献からの引用や用語の使用が多いので、一見、非常に広範に文献を渉猟し、検討した結果として辿り着いた主張であるように見えるのだが、その引用の方法や用語の使い方は非常に恣意的で、つまりは先人の研究成果の都合の良い部分だけをパッチワークすることで説得力を生み出す、「似非科学」や「トンデモ本」の類と同じ手法を採用しているのである。自然科学の本とは言えないので、「似非科学」と呼ぶのが相応しくないのだとすれば、「似非哲学」とでも呼びたいところか。

ただし、だからと言ってこの本が読む価値のないものかというと、それが違うところが面白いところではある。

例えば「島国性の復権」であるとか、あるいは「水利共同体」に対する再評価であるとか、「アミニズム連合」の提言であるとか、(著者の提言ではないが)「ネイチャーテクノロジー」の考え方とか、この小さな一冊の本の中には、我々の硬直化した思考パターンに衝撃を与える、貴重な視点や重要な示唆が、無数に埋もれている。全体としては全く支離滅裂ながら、ところどころにキラッと光る主張を見つけて、ついつい引き込まれてしまうのは、著者と関係が深い梅原猛(共に国際日本文化研究センターの主要な関係者で、共著作も多い)の著作にも共通する特徴だろうか。「アカデミズムの仮面を被ったジャーナリズム」と言うべきなのかもしれない。

そんなわけで、元々から文明論や宗教論などへのリテラシーが高い人間には、是非一読を勧めたい一冊ではあるのだが、その一方で、そうしたカテゴリーに馴染みのない人間には、決して最初に読ませてはいけない本でもある。この本に書かれていることが全て「事実」もしくは「真実」だと誤認してしまったら、大変な誤りを犯しかねないからだ。

おそらく、この本の中で断定されている、しかし実は仮説に過ぎない沢山の発見や指摘の正当性をひとつひとつ検証して行くことなどは、著者の頭の中には初めからないのだろう。著者は、彼本来の「環境考古学」という分野の研究を続ける中でひらめいた“アイデア”の数々を我々に提示し、我々はその無数の仮説の中からいくつかを選び出し、その真偽を確かめたいと思う者はその真偽を追及すれば良いし、今後の実践の指針として採用したいものがあれば採用すれば良い。そのような素材を集めた素材集として、あるいは道具として、材料として、極めて優れた、「面白い一冊」であると、私は思う。
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
全てのモノの中に、精霊を感じ崇敬するアニミズムの考え方は、E.B.タイラー以来、宗教の原初的形態と見なされてきました。進化し洗練された後代の宗教に当然駆逐されるべき野蛮な考え方とされてきました。しかし著者は、現代の多くの危機は、進化した唯一神を信ずる超越宗教の世界観から生じたものだと考えています。一神教の教えに基づいた自然との関わり方、生命への考え方などは、近代技術を生んだ母体となったそうです。しかし他方では、この考えは環境破壊や生命の殺戮を平気で行うテロなど人間の闇の部分を正当化していると著者は批判しています。この一神教から生じた自然観・生命観の歪み。そこから生じている現代地球の危機を救うには、捨てられた古いアニミズムに基づく文明の考え方を復活させて、自然と人間の循環型文明社会を目指すことが今必要だと提案されています。また実際に色々なプロジェクトを実践されているそうです。

環境考古学を提唱された著者だけに、思考の対象が文明史規模で大きく、読む方の視野がすぐには中々拡がりません。また一神教への批判が、非常に厳しく、読者側にも自分なりに消化する時間が欲しくなります。さらに結論は単なる分析に終わらずに、ローマクラブを越える未来の文明モデルを構想するような実践的な提案もあり、理屈を追っていった者には、違う思考作用を要求されて戸惑います。これらの点が読者に大風呂敷の感じを与えることもあるのではないかと思いました。しかし時間をかけて読むと論旨は明快で、提案も新鮮で刺激的です。
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By lexusboy トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書|Amazonが確認した購入
 中谷氏の著作(「資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言」)で私が愛読している安田氏の著作が引用されていたので、久々に出してきて読んでみた。
 元々、安田氏の著作を読み出したのは、いわゆる環境考古学で、例えば、湖の底の堆積物に含まれる花粉で、気候変動を読み解くという方向性におもしろさを感じたからである。
 その時期から見ると、安田氏は随分著作の幅を広げている。本書では、超越的権威である一神教とアニミズムを対比させ、現代の文明の閉塞状況を打ち破ろうという意欲的な作品である。
 ユニークではあるが、一部には飛躍があるなぁと感じる部分(「環太平洋アニミズム連合構想」とか)もあり、全体的にバランスが悪い。ただ、一読の価値はあると思う。

 まず、文明の定義についての異議が述べられる。
 カール・ヤスパースが言うところの「文明」は、超越的秩序としての巨大宗教や哲学を持った「枢軸文明」だけであるとしており、現世的世界は、不完全で劣等で汚れたものであると見なされ、その代表がアニミズムであったという。
超越的秩序の宗教を最初に構築したのは砂漠の民で、彼らの畑作牧畜文明は、森を破壊し耕作地を拡大することで生産性を上げた。

 一方、日本人は、純粋の自然でもない、純粋な人里でもない中間の里山を作り出すことによって、(自然と対決するのでなく)自然と人間の間にゆるやかな関係を構築してきた。
 この背景には、美しい森と水を守る自然観と世界観、アニミズムの心が根底に存在したからであるという。なお、アニミズムの文明の伝統を色濃く残した国があるが、それはインドであるという。

 アニミズムの民が持っていた、森と水の循環系を守り持続的にこの地球で生きる叡智を活用すべきという点には、うさんくさい環境派の主張より示唆に富むように、個人的には感じる。

 なお、p.89にある、「一は孤立、二は対立だが、三は調和・和のシンボルである」という言葉には感銘を覚えた。
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