私、昔陸上競技でインターハイに出場したことあるんです。
彼らと同じように地区大会を戦って。
スプリントではないですが・・・。
そんなリアルに高校陸上を経験したことのある私からしても、この本の臨場感は完璧です。
完璧にリアルです。
描写も感情も全て。
一緒に競い合うライバルはリアルに友達になり。トラックを走る見知らぬ他人を応援します。
トラックやフィールドの上では一人でも、スタンドには応援してくれる仲間の存在がいて、競技者はそれを感じながら戦うんです。
ライバルであっても、怪我をしていれば気にかかり。
大事な時に失敗してしまった彼に、彼女に掛ける言葉に心を砕きます。
三年生、最後のインターハイへの挑戦。
全員が全員いけるわけではなく、誰かが落ちて、誰かが救われる。リアルにそんな世界です。
春高陸上部のように、ポッと出てきた陸上部もあれば、鷲谷のようにそのジャージを着ているだけで道を譲ってしまうような強豪校もあり、それが一直線に並んで学校を、県を、仲間の思いを背負って戦うのがリレー。
リレーは全競技の最後。全ての競技が終わって、トラックやフィールドにはリレーを走る選手以外はいないという状況で走ります。
競技場の全ての視線を集めて走ります。
日は傾き、スッと涼しい風の吹く夕暮れ時。リレーを迎える競技場は、異様な緊迫感に包まれています。あちらこちらに大応援団ができ、興奮しながらその時を待っています。関係ある学校も関係のない学校も見つめる先は、トラックの8つのレーン。リレーを走る4人の選手たちです。
いざ走り始めればそこは、怒号のごとき大声援でいっぱいになり、悲鳴や歓声、正に興奮に包まれます。そしてゴール。一気に大歓声から、「オー」といううねりに変わります。スタンドからは惜しみない拍手が降り注ぎます。同じ競技者からの賞賛の拍手です。
勝ったものだけにではなく、走りきった全ての選手に。決勝で走るとはそういうことです。
リレーの終わった競技場は、興奮の面影を残し、終わってしまった寂しさが漂います。
この本を読み終えた読後、そのリレーの終わった競技場の寂しさをも味わえました。
とことんリアルだな〜、と思いました。
すごい本!本当にすごい!!
スタートからの景色が見えました。レーンの先のゴールが見えました。走っていました。自分が。風をきって。風感じて。
楽しかったっ〜!
そう思って読み終えた。
「面白かった」ではなく、「楽しかった」って、すごい!
陸上経験者は絶対に読むべきです。