様々な色合いの断片が入っている。1970年代から現在にいたるまで、色々な場所に発表された短い文章が46編。それは、エッセイだったり書評だったり文庫のあとがきだったりするが、マンガや映画や演劇やバレエや思い出に関するものといった、大雑把なくくりでまとめられている。連載された文章がふたつあるので、散漫な印象になるのを免れている。
ざっと読んで、この本だけでは感想は書けないなと思った。文章が書かれた時期と作品のリストを照らし合わせて、作品の背景をもう一度考えたり、他の様々な情報も合わせて萩尾作品を再読したいという気持ちにさせられる。そしてまた萩尾さんが読んだ本を読み、映画を見て、もう一度読んでみないとわからないものもあるだろう。そうやって断片をつなぎ合わせてどんな絵が完成するのか?それは人によって全然違うかもしれないと思う。これまで作品を読んで過ごした豊かな時間に加えて、また新しい楽しみが始まるかもしれない。