どう考えても「オマエ読んでないだろ」と言いたくなるレビューがすぐ近くにある。
真摯なレビュアー方の名誉のために断っておくが、この本はサイクル理論を扱った本ではない。
確かに著者はメリマンサイクルに基づく投資法の普及に熱心だが、
少なくともこの本の中では「ちょっと付け足し」程度のものでしかなく、
どれだけうがった見方をしても、本書は「サイクル理論の本」とはいえない。
レビューは対象本全体をきちんと読み込んでから行うべきだ。
著者の投資スタイルは、ひとことで言えば「かなり保守的」である。
基本は飽くまでローソク足の上下(高値・安値)に重きを置くトレンドフォローであり、
紹介されている数種類の指標も、原理を解説した上で補助的に使われているにすぎない。
サイクル理論にしても、それを予言的・占い的に使うことを推奨しているわけではない。
それどころか、手前勝手な予想(相場観)に基づくトレードをしつこいくらい戒めている。
「目の前の相場こそが正しい」という基本姿勢が先にあり、理論は確率的優位性を高めるための道具。
それが徹底していないと、どんなに優れた理論でも大火傷を負うに決まっている。
だからこそ著者は、厳格な資金管理に基づく「意味ある損切り」をしつこく語るのである。
本書は、入門期を過ぎ、ビギナーズラックを使い果たして困っている初心者や、
テクニカル指標を勉強しすぎてドツボにハマッている中級者が初心に還るのに丁度いい。
先入観を排し、チラシの裏にローソク足でも書きながら何度も読み返すことをすすめたい。