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一死、大罪を謝す―陸軍大臣阿南惟幾 (PHP文庫)
 
 

一死、大罪を謝す―陸軍大臣阿南惟幾 (PHP文庫) [文庫]

角田 房子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

いかにして青年将校の暴発を抑えつつ戦争終結に持ち込むか――終戦日に自刃した最後の陸軍大臣・阿南惟幾の決断と波乱の生涯。

昭和二十年八月十五日朝、日本の敗戦を目の前にして「一死 大罪を謝し奉る」と書き残し劇的な自決を遂げた大日本帝国最後の陸軍大臣・阿南惟幾。必ずしも武運に恵まれていたとはいえず、帝国陸軍の典型的軍人として平凡な道を歩んでいた彼は、その生涯最後の四か月、帝国陸軍の統率者という要職を担う。戦局が極度に悪化し、徹底抗戦、国体護持を叫ぶ青年将校と、連日の空襲で国土を焼かれ疲弊した国民との間に挟まれながら、巨大な組織の統率者として歴史の舵取りを託された彼は、何を考え、何を決断したのか。
本書は、自身三十代で敗戦を迎えたが「敗戦の認識はあいまいであった」と自覚した著者が、戦後膨大な終戦資料を読み込み、軍が和平を受け入れるまでの「死闘」を阿南惟幾を中心に再現しようとした一冊である。表向き徹底抗戦の意志を捨てなかった阿南の真意を探りながら、“戦争終末期”の実相を描き出す。PHP文庫版では澤地久枝氏の解説を収録。

内容(「BOOK」データベースより)

1945年8月15日、終戦を迎え、何も語り残さず自決した陸軍大臣・阿南惟幾。非凡な人材の集合体である陸軍のなかで自身の平凡さを自認していた彼は、その生涯最後の4か月、戦局が極度に悪化した状況下で、帝国陸軍の統率者という要職を担う。敗戦へと転がり進む時局の舵取りを迫られた彼は、何を考え、決断したのか。阿南の生涯に肉迫しながら、“戦争終末期”の実相を描き出した決定的評伝。

登録情報

  • 文庫: 556ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2004/08)
  • ISBN-10: 4569662358
  • ISBN-13: 978-4569662350
  • 発売日: 2004/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 428,294位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
終戦をめぐる物語は数あれど、最後の陸相阿南惟幾に課せられた決断ほど困難なものはなかった。
終戦への意思を胸に秘めつつ、徹底抗戦を叫ぶ帝国陸軍500万の統率者としてポツダム宣言受諾に頑強に抵抗、聖断が下るや自身の死をもって陸軍の暴走を止め、戦争終結へ導いた。
彼は一切を語らず、書き残さず自刃したが、それも当然だったろう。徹底抗戦が腹芸であることは抗戦派にも和平派にも悟られてはならなかった。一切の決断と責任を孤独の中で背負わねばならなかった彼の胸中は如何ばかりであったろう。
「本土決戦で2000万人の犠牲が出れば、アメリカは戦争をやめるだろう。」という狂気の言説がまかり通っていたあの時代に、阿南惟幾という男を持てた我々日本人は幸運だったと言える。
8月15日に本書を読了した。昭和20年のこの日、阿南は絶命した。僕は布団に寝そべってこの本を読んだ。数え切れないほどの悲惨と死の上に築かれたこの平和な時間をしみじみ有難いと思った。星5つ、文句なし。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 日清・日露の両戦争ともに、日本の政府は欧米諸国に比較して自らの非力を深く自覚していたので、戦争を開始する前から講和の道を探っていた。一方、太平洋戦争では世界の情勢を熟知し、講和のタイミングを計算できる政治家、軍人は、「弱腰外交」との非難の圧力、テロの圧力に政治権力の中枢から押し出されてしまった。帝国憲法の大権をもつ昭和天皇ですら、英米との親和を重要視していたにもかかわらず、親独派外交の独走に寄り切られ、統帥権を無視して中国にのめりこんでいく関東軍に開戦に向けて引きずられていってしまう。海軍もミッドウェイ海戦での敗戦により、制空権、制海権を失ったにもかかわらず、敗戦の事実を国民に正直に伝えらず、その後の決戦による挽回もすべて空振りに終わったことを転進という嘘の言葉でいいくるめ、講和のタイミングをつかめないままずるずると引き下がっていく。
 戦争の前線、現場を知らない大本営の軍人が本土決戦を叫ぶ。国体維持の議論に足をすくわれて、政治的判断が下せなくなった政治家。ただ軍部を抑えても強硬派、狂信的国粋主義者に殺されて努力が無に帰する可能性が高いなかで、敗戦処理内閣とも目された鈴木貫太郎内閣の陸相に任命される。現実的判断能力を失った軍隊のしんがりを務めるためには、戦争継続を表看板にしながら、無条件降伏の敗戦を軍隊に納得させる腹芸のできる人物が必要である。現場で戦っていた阿南大将は、陸相に任命されその綱渡りの役をこなした。
 だました軍隊に差し出すものは自分の命であることはもうわかっていたのだ。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 阿南陸軍大臣は、それ以前は、決して、陸軍において、目立つ存在でもなければ、失礼ながら「将来を嘱望された」人でもなかった。

 この彼が、どうやって大東亜戦争を終結させるかという鈴木貫太郎内閣の陸軍大臣になったことは、時代と運命のめぐり合わせでしかない。彼でなければならなかったという状況ではないし、彼しかいなかったという状況でもなかった。

 そういう状況の中で、鈴木貫太郎内閣で「終戦の方向」が暗黙裡に模索される中で、表面的には、「戦争継続」を強硬に論じ、他方、万一の場合の若手陸軍将兵の反乱を防止することも考えなければならないというのは、以下に心労であったろうか?

 「ご聖断」が下った後、鈴木貫太郎にそれまでの失礼を詫び、別れるときには、すでに自決は決まっていたのであろう。

 彼は、彼なりに「戦争継続」をいい続けることで陸軍を納得させながら、最後は「ご聖断」で彼の属した内閣の目的の達成を喜んでいたのではなかろうか?
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