そもそもユーザー企業の「クラウド戦略」について、ほとんど語られていません。筆者達の企業ITについての持論を紹介するために、流行のクラウドを持ち出したようにしか読めません。第一章の前半部分とクラウドについて語る部分の繋がりが非常に稚拙で無理矢理感満載です。第三章「これからのIT経営」が本書籍のメインパートだと思いますが、なんと37頁しかありません。そのうち、クラウドに関して述べているのは、3頁しかないのです。このパートでは、IT組織、ITベンダーとの関係、CIOの価値、について取り上げていますが、ここもクラウドへのつなぎが唐突で浅薄です。
第二章の実践編では4社を取り上げていますが、その選定理由がまったく不明です。また、このパートを各企業に執筆させていますが、筆者が自ら執筆すべきでしょう。各企業の宣伝に過ぎない部分も多く、各企業のWebサイトやカタログを見ているような気分になります。いまの10分の1の頁で十分な内容です。この実践編がこの書籍の半分近く(全234頁中の109頁)を占めているのは、筆者および監修者の単なる手抜きだ思います。原稿料削減の目的もあるのでしょうか。
「はじめに」に「ITを生業としないビジネスパーソンに向けた本」とありますが、一般のビジネスパーソンには理解不能な部分が多すぎます。第三章が顕著です。例えば、CRM、ERPというIT略語がたいした説明もなしに登場します。
クラウド・コンピューティングに関しては、無料のWebコンテンツがそこら中で手に入ります。本書籍で語られていることは、それらで語られていることのサマリに過ぎません。「一歩先」とはまったく言えないどころか、独創性もまったくありません。久しぶりに、価値の低い解説本を読みました。