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舞台は、ドイツとオーストリアの間に国境があった1937年度のオーストリア・ザルツブルク。ドイツでは大金持ちの主人公ゲオルグは、夏休みをザルツブルクで過ごそうとしていた。しかし、この時は為替管理法があったため、ドイツマルクをオーストリアへほとんど持ち出すことが出来なかった。翌1938年度には、オーストリアはドイツに併合されており、小説から時代背景も浮き彫りとなってくる。
本書は、ザルツブルク音楽祭をテーマにしただけあって、シュトラウスやモーツァルトなどに関するケストナーの博識ぶりもうかがえる。
また、本書が書かれた頃はドイツはナチス全盛の時代。全編ユーモアの中にも、ケストナーの平和への願いも見られる。例えば、アメリカ人が酒をおごってくれたというくだりの後こう続く。「そんなことをしたら(酒の招待を断ったら)彼は憤慨して国へ帰り、カールとおれのことを礼儀知らずの人間だといって話をする。そしてとかく人間は印象を一般化する傾向があるから、これがもとになって全ヨーロッパを紛糾に導かないとは限らない。今までのいかなる時代にもまして、きょうはこれを回避する必要が…」と。。「一杯の酒から」戦争が始まることもありうるというケストナーの警句とも取れる。その後、第二次世界大戦(1939ー1945)が起こることを考えると暗示的な文章だ。
一年前、1938年に発表された作品です。
ひと夏をオーストリアのザルツブルクで過ごすことにしたゲオルク。
為替の認可がなかなか下りないため、ザルツブルクでは貧乏暮らしを、
国境越しのドイツ・ライヘンハルのホテルでは大名暮らしを送ること
になる。鉄道に乗って一時間と離れていないザルツブルクとライヘン
ハルの都市間を、昼と夜とで往復して過ごそうというわけ。そうして
日を送るようになってすぐのこと、ザルツブルクのカフェで無一文状
態になってしまったゲオルク。立ち往生していたその時、運命の女神
が微笑んだのだった。
という具合にカーテンの幕がするするっと上がって、話が滑り出して
行きます。国境往来をしながらの恋の喜劇の、はじまりはじまり~♪
モーツァルトの音楽が、さあっと流れていくみたいな朗らかさがあり
ます。上品なユーモアがいかしてる、香り高いロマンス小説の逸品で
すよー。
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