詰めの基本は一手、と言われると確かにそんな気がします。一手とは言え、これを確実に押さえているかどうかでやはり勝率は変わってくるものでしょう。ただ本書は、詰ます、というより実践で詰みがある局面か無い局面かを見極める勘を付けるという目的ではないでしょうか。初心者ではあるのですが、実践的な局面が多く(最初の方を除く)、一目パッと見て、「ああ、この局面なら王手かけないで駒取ってるな」と思わせるものが多々ありました。一手詰めなのに三十秒ほど立ち止まってしまったり、森さんの詰め将棋へのこだわりにはいつもながら感嘆させられてしまいますね。
しかし、残念ながらこの本致命的に面白くない。何度も繰り返して解くのが大切とあるのですが(チェックボックスが三つあって最低三回は繰り返して解け、ということでしょう)、一手詰めですから流石に飽きてしまいます。三回も繰り返すとほぼ苦痛。どう見ても他の手で詰むなぁ、というミスも何題かあって反復しているとそう言う部分が気になって仕方がありませんでした。もちろんミスは一手詰め三百題中、二三題ですからかまわないと言えばそうなんですが一回解いて終わりにしないでほしいのでしたらもっと気を使ってほしかったです。
必至問題の方は簡単な必至問題を用意した点では非常に評価できるのですが、いかんせん解説が少なすぎます。普通必至問題の解説は回答者が選びそうな手を一手一手検討してくれるものですが一行さっと書いてあるだけですから、そういうのはもちろんありません。これは初心者には逆に不親切ではないでしょうか? また、詰め将棋のミスと同じような他の手でも正解っぽいという“グレーゾーン”の問題があって途中で解くのをやめました。
確かにトレーニングとしては優れているでしょう。しかし、筋トレするみたいに、単調さと退屈さに耐える覚悟が必要ですね。