イギリスの外交官アーネスト・サトウ(1843-1929)による、1862年9月から1869年2月に渡った日本滞在時の回想録である。本書は著者の日記から書き起こされたもので、書き漏らされていた部分は自身の記憶と母への手紙などで補われている。また、執筆時期は1885-1887と1919-1921の二期に別れている。
上巻には、日本に赴任するまでの簡単な経緯と、赴任してから1867年5月頃までのことが書かれている。18才で日本に興味を持った著者は好奇心や冒険心も旺盛で、海路よりも時間のかかる陸路で大坂から江戸に帰ったりするのであるが、そうしたことが当時の日本を子細に描写する結果に繋がっている。また、実際に会った人たちの印象をほとんど書き記しているので、徳川慶喜が貴族的な容貌をそなえていたことなどもわかる。もちろん政治的な交渉の場面も記述されていて、明治維新というものを、日本国内から第三者的視点でリアルタイムに描いた貴重な回想録となっている。
(下巻のレビューに続く)