もっと多くの人に語り継がれるべき作品。
正直、申し上げますと見終わった後に監督のお名前を確認したので、
三池崇史監督の作品だと知った時、驚きと幅の広さに感服しました。
今までの三池監督作品で受ける個人的な印象は、ガチャガチャして
慌ただしい印象を持ってしまう作品ばかりだったのですが、まさか、
ここまでキッチリとした時代劇映画を見せてくれる人だったとは
思っていなかったので輪をかけて脱帽。凛とした雰囲気が全編を
覆っていて坂本龍一氏が手掛けた音楽もとてもマッチしています。
映画前半に出てくる切腹の場面は、役者さんの底力を見た気がします。
まだお若い役者さんだとは思いますが、非常に生々しく目を覆う程の
見事な演技だったと思います。私はこの作品のあの場面で彼を見直しました。
主演の市川氏も求められている仕事を十分に果たしていると思います。
役所広司さんも完璧を超えているリアルな演技。いつもより熱が
入ってる様に見えたのは私の気のせいでしょうか。最近、若手として
活躍中の満島ひかりさんもすっかり場に溶け込んで流れを壊しません。
武士の面目という大義名分に対して一浪人が抱くシニカルさも
監督の狙い通りなのか、幸いにも私は感じ取る事が出来ました。
時代の再現を忠実に行おうとしたのか、夜間での屋内の色彩感が
蝋燭の灯りのみであるかのように写していたのも良かったです。
映像の色合い、役者さんの演技、筋書き、音楽、どれを取っても丁寧。
現時点では今年見た中では一番。そして三池監督作品の中でも一番です。