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一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病 (光文社新書)
 
 

一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病 (光文社新書) [新書]

片田 珠美
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

◎ 概 要
急増するひきこもりや新型うつ病
何でも他人のせいにする他責的クレーマー
覚醒剤や合成麻薬などによる依存症

「スゴイ自分」(=幻想)を保つためになら、
何でもする人々・・・

◎ 内 容
精神科医である筆者が最近の臨床現場で感じている、
3つの特徴的な傾向がある
......1、ひきこもりの増加にみる打たれ弱さ、
  2、何でも他人のせいにして切り抜けようとする他責的傾向、
  3、覚醒剤や合成麻薬などにすがる依存症の増加......。
これらの根源に横たわるのは、実は同じ病理である。
いずれも、「こうありたい」という自己愛的イメージと、
現実の自分とのギャップが大きすぎ、
ありのままの自分を受け入れられないのである。
「自分は何でもできるんだ」という空虚な幼児的万能感を
ひきずったままの若者・大人の増加。
その「成熟拒否」の背景には、親の側の過大な期待と、
現在の幼・青年期には失敗や喪失体験が少なく、
精神分析でいう「対象喪失」が機能しなくなっていることがある。
本書では、臨床例・事件例をもとにこの問題を分析。
喪失を受けとめ、地に足のついた真の再生を果たすための
処方箋を示す。

◎ 目 次
はじめに
第1章 「打たれ弱い」という病
第2章 一億総「他責的」社会
第3章 依存症......自己愛の底上げ
第4章 大人になるってどういうこと?
    ......対象喪失とは何か
第5章 子どもを子どものままにしないために(処方箋)

◎ 著者プロフィール
片田珠美(かただたまみ)
1961年広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。
人間・環境学博士(京都大学)。
フランス政府給費留学生としてパリ第8大学で
ラカン派の精神分析を学ぶ。臨床経験にもとづいて、
心の病の構造を分析。
現在、神戸親和女子大学教授。京都大学非常勤講師。
著書に『17歳のこころ』(NHKブックス)、
『攻撃と殺人の精神分析』(トランスビュー)、
『こんな子どもが親を殺す』(文春新書)、
『薬でうつは治るのか?』『やめたくてもやめられない-
依存症の時代』(いずれも洋泉社新書y)、
『無差別殺人の精神分析』(新潮選書)などがある。

内容(「BOOK」データベースより)

「スゴイ自分」(=幻想)を保つためなら何でもする…急増するひきこもりや新型うつ病、何でも他人のせいにするクレーマー、覚醒剤や合成麻薬などの依存症。精神分析からのアプローチ。

登録情報

  • 新書: 248ページ
  • 出版社: 光文社 (2010/7/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4334035728
  • ISBN-13: 978-4334035723
  • 発売日: 2010/7/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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断念すること 2012/1/12
形式:新書
過激なタイトルであるが、精神科医の片田珠美さんが精神分析手法に基づいて現代日本人の病理を冷静に分析する内容となっている。
前半では、片田さんが最近の臨床現場で感じている3つの特徴的な傾向――1.ひきこもりの増加にみる打たれ弱さ、2.何でも他人のせいにして切り抜けようとする他責的傾向(モンスター・ペアレンツ、モンスター・ペイシェンツ)、3.覚醒剤や合成麻薬などにすがる依存症の増加――について紹介する。
後半では、これらの精神病理の背景には万能感を失いたくないという対象喪失の恐怖が根底にあるのではないかと論じる。

片田さんはスイス生まれの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスが提唱した「死の五段階」――否認、怒り、取引、抑うつ、受容――を引き合いに出し、ひきこもりは否認の段階でで、モンスターペアレンツやモンスターペイシェンツは怒りの段階で、依存症は抑うつの段階でとどまっていると分析する。この論点はユニークである。
さらに、男性が女性に比べて打たれやすい実情を、フロイトの説にしたがい、「去勢不安」や「エディプス・コンプレックス」にあるのではないかと分析する。

こうした問題を解決するには「断念」が大切だと説く。
「『断念』を受け入れられない若者が、ものすごく増えているように筆者には感じられる。これはとりもなおさず、大人になることの拒否、つまり『成熟拒否」である』(46ページ)とも述べている。
片田さんは「なぜ対象喪失を受け入れられなくなったのか?」(212ページ)と疑問を提示し、「何よりも、人生における最大の対象喪失である『死』に遭遇する機会が減ったことが挙げられよう」と答えを記している。このことは、子どもを育てていく際にヒントとなるだろう。

片田さんは、「『あきらめない』のであれば、当然、そのために重ねるべき努力も、あがくことに伴う苦悩も、失敗したときに味わう絶望も、引き受ける覚悟がなければならない」(239ページ)と手厳しい。この覚悟を引き受けられるのは、本当に強い人間である。ちょうど並行して読んでいた『生き残る技術』(小西浩文=著)を実践できる人間だけだと思う。
そうでない、普通の人は、やはり「断念」することが肝要だろう。

最後に片田さんは、「経済面での対象喪失の危機に直面して、どう対処していいかわからず、戸惑っているのが、現在の日本」(230ページ)と述べている。そして、「『勝ち組路線』から一度でもはずれてしまうと、そこに戻るのがきわめて困難に見えるような現在のシステムを根本的に見直し、敗者復活の容易な社会を築いていく努力が必要」(248ページ)と締めくくっている。難しい問題である。
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45 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 団塊予備役 VINE™ メンバー
形式:新書
ラカン派の精神科医の著者として十分に主張しています。新書版で読みやすく、書きぶりも一般読者(含レビューアー)向けに平易で助かりました。対象は「ひきこもり、弱さ」「他者責任」「依存症」の顕在、潜在的日本人。大人になれない(大人の定義はこれまた論議がありますが)ヒトの病理を自己愛と現実のギャップ非受容、幼児的万能感の引きずり、幼児体験、喪失体験、母親と乳離れ、排泄、フロイト的喪失、エディプスコンプレックス等々ここは相当難しい概念をもとに簡潔に説明しています。

非常に明解なのですが、例示が芸能人から政治家、著名人(キュブラー・ロスなども入ってますね)など、そうかもしれないなという所を「こうです」とやや決めつける論調が個人的には気になりました。さすがラカン派という強気と自信ですね。悪い訳ではないですが。職場の問題、異常な事件、モンスターペアレントから経済不況まで極めて広範にカバーしていて、新書版ということもあり仕方がないのですが、浅く広くすべてに触れるというところと、上記のようにその分析は難解かつ学問的な話なので深く丁寧に説明が必要というところ、そのバランスが微妙だなという読後感でした。この本を読もうと思われる読者なら問題はないのでしょうが、そこが「読んで欲しい読者層」と一致してくれるのを期待します。

個人的には、日本人の場合は「自分はもっとできるはず」というギャップに悩む米国型というより、「他人に出来ていることが私には出来ないのではないか」という不安、だから逃避するという日本/欧米のpositive/negative性格ギャップが強いような気もします。結果や症状としては同じになるのでしょうけれども。
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17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
著者は精神科医なので、臨床事例をもとに考察がなされていて、冷静な意見が述べられている。タイトル「一億総ガキ社会 『成熟拒否』という病」からも明らかなように、成熟拒否が、自己愛的な万能感を維持する手段となっている事が、本書を通じて述べられている。

自己愛的イメージを保つためにとられる方法として、次の第一章から第三章で具体例を挙げながら見解が述べられている。第一章)ヘタを打たない事で保つ自己愛、第二章)他責によって自らを上位に置いて万能感を保つ、第三章)依存症によって自己責任の重圧から逃れる

60年代に起こった「規範からの解放」、70年代に顕著に表れた「自己の開花」という価値観は、外部からの規律を拒否して、自分自身の規範を自ら作り出さなければならないという自己責任という概念を生み出し、自分らしく生きる事を目指しつつ、社会に存在感をアピールし続けることの不安定さと難しさをあげている。

特に印象に残った、第二章 一億総「他責的」社会にある、より一部を以下に抜粋する。
・「人間の欲望とは、他社の欲望である」とフランスの精神分析家ラカンが言ったように、人間の欲望などというものは、所詮他の誰かの欲望を取り込んだに過ぎない。この基本原則が忘れられ、「自己の開花」が強調されるようになったために、「自分らしさ」を求めて「自己実現」やら「自分探し」やらに走りすぎた大多数の「普通の人々」は、「自分である事」に疲れてしまった。その結果、落ち込んでうつになる人々が増えている一方で、「実現すべき自己などない」、つまり自分が「空っぽ」である事を受け入れられない人々は、他人を責める事によって空虚感を埋め合わせようとしている。
・消費社会が「あきらめないで」というメッセージを送り続けている以上、「あきらめること」=断念を拒否する人々が増えるのは当然だろう。断念せずにすむ手っ取り早い手段が開発されたことが宣伝されればされるほど、以前であれば、「あきらめること」を受け入れざるを言えなかった人々も、あきらめられなくなった。(中略)あきらめきれない「成熟拒否」が増殖し、他方で、依存症が急増している。これは当然の帰結である。

総括的な著者の提言となる第五章「処方箋」は、割と一般的な印象と言わざるを得ないが、臨床に基づく著者の見解の後だと、やはり、言葉に説得力が増す。結局、避けて通れる道はないのだ、という事だ。
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