小津安二郎監督のトーキー第一作。 この作品は長い間見たい思っていたのですが、やっと夢がかないました。 時代は変わっても永遠に変わらない親と子の葛藤の物語。 中盤の母子の口論の場面の息をのむような力強さとクライマックスのダイナミックな場面転換、そして映画の定石を踏まえたホロリとさせられる予定調和を入れて観客を安心させつつも、安易なハッピー・エンドには決してもっていかない作家根性。 いやはやまさに映画を知り尽くしたプロの作品です。 小津ファンでまだ未見の方には迷わず購入をお勧めします。 それにしても笠智衆さん演じるキャラクターの描かれ方には空恐ろしいものがあります。
昭和11年作ということで、さすがにフィルムは相当痛んでいますが、映像は一応きちんと見え、聞こえます。 以前はボックス・セットとして販売されていたため手が出せなかったのですが、このような単品発売はうれしい限りです。 メイン・メニューも映像特典もついていないし、終わればループしてまた最初に戻るという仕様の商品ですが、値段を考えれば文句はありません。 むしろこういった廉価版で、古典作品をもっと発売してもらいたい(勿論、このディスクの様な望みうる限りの最上のクオリティで)ものです。 松竹の倉庫には清水宏、島津保次郎、五所平之助といった、戦前の名匠達の埋もれた名作群がまだまだ手つかずのまま眠っているのではないのでしょうか? それらは日本の財産なのですから。