特別支援教育の中では読書の重要性は語られても学校図書館についてはあまり語られることがなかった。
また、学校図書館を語る上で障害を持つ児童生徒への対応はどれほど扱われてきたのであろうか。あまり聞かない。少なくとも司書教諭の養成課程で障害の応じた読書サービスの提供が扱われているというのは聞いたことはない(聞いたことがないだけで扱っている大学もあるのかもしれないが)。
本書は特別支援学校の学校図書館を中心に扱っている特異な書である。メインテーマとして扱ったのは本書が本邦初かもしれない。
昔から点字図書・拡大図書・録音図書の提供ということで盲学校は特別な位置にある。聾学校も日本語の習得や学習の基盤として図書館は充実してきた。しかし、肢体不自由児・知的障害児を中心とする養護学校ではおざなりにされてきたといっても過言ではないだろう。まず予算が付かない。教室が不足してくると狭い部屋に移転したり、共用の部屋になったりする。司書教諭の配置も名目だけで学校図書館の充実に寄与できるような存在ではない。そんな貧弱な状況が実際である。
本書では意欲的な学校図書館運営や図書活動が紹介されている。人的資源からもここまでの活動をするのは難しいだろうが、最近の情報機器の発展やDAISYの登場などにより、読書活動の形が多様化し、障害のある子どもたちにも読書が手が届く存在になってきている。生徒の特性からも書籍という形態にこだわっていては有効な学校図書館運営や読書活動の推進は難しい特別支援学校においては読書形態の多様化は追い風であるのかもしれない。
また、障害の多様化、重複化により教員への支援としてのリファレンスサービスも重要性を増してきている。このあたりは学校図書館単独で対応できる問題ではないので地域の図書館との連携が重要になって来るであろう。
現在の事情は意欲ある人々にとっては窮状を打破する絶好の機会なのかもしれない。
本書がこれまで軽視されがちであった特別支援教育での図書館の位置を改めて見直すきっかけになればよいと思う。