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一三〇〇年間解かれなかった「日本書紀」の謎
 
 

一三〇〇年間解かれなかった「日本書紀」の謎 [単行本]

竹田 昌暉
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内容(「BOOK」データベースより)

未発掘だった五世紀以前の古代史のすべての謎が解けた!「日本書紀」に秘められた算術式を解読し、神代の歴史を甦らせた記念碑的論考。

内容(「MARC」データベースより)

未発掘だった五世紀以前の古代史のすべての謎が解けた! 「日本書紀」に秘められた算術式を解読し、神代の歴史を甦らせた論考。

登録情報

  • 単行本: 316ページ
  • 出版社: 徳間書店 (2004/1/30)
  • ISBN-10: 4198617929
  • ISBN-13: 978-4198617929
  • 発売日: 2004/1/30
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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著者の竹田氏は1929年生まれの開業医だそうだ。
一見、物好きの爺さんが道楽で書いた書物のように見えるが、どっこい誠実な内容であった。
理系の人間が『日本書紀』に挑むと、こうも斬新に史実が浮かび上がってくるのか。
私のような数字に弱いガチガチの文系人間は逆立ちしても思いつかない解読法である。
相当な衝撃を受けた。

私は歴史好きなくせに、近代史以下の時代はどうも胡散臭く感じられ興味が持てなかった。古代史となれば尚更である。
歴史マニアが想像をたくましくロマンに浸る非科学的な分野だと軽蔑していた。
しかし本書は、そうした偏見を一掃してくれる。

特に斬新な点は、「呉軍渡来説」であった。『魏書』ではなく、『呉書』に目をつけた所がまず素晴らしい。
著者によると、中国大陸の戦いで敗れた呉人たちが日本列島へ敗走してきたのが、
弥生から古墳時代へ転換した原因であった。
これは、共産党に敗れた国民党が台湾島へ逃れた歴史に似ているから、信憑性がある。
著者はまた、歴史学的根拠に考古学的な視点も加え、この説を補強する。

最近、「NHKスペシャル」を見て、マキムク遺跡で銅鐸が人為的に破壊されていたことを知ったが、
これは倭国が呉軍によって征服された歴史を証明するものなのかもしれない。
「呉軍渡来説」によって、これまで誰も書かなかった「南東ルート」が指摘され、
またそれによって『書記』の日向での天孫降臨という「神話」が史実として浮かび上がってきた。
つまり、神武天皇の存在が現実味を帯びてきたということである。
弥生から古墳時代への転換は、倭国における王朝交代であったといって良いのかもしれない。

さらに、『書記』神話を復元する数学公式を発見した点が、何といっても本書の一番の功績である。
これによって、謎に包まれていた4世紀の日本史が鮮やかに現れた。
『日本書紀』は出鱈目な神話なのでなく、史実を作為した書物なのであった。
なぜ、作為せざるを得なかったのか。
それは、中国の歴史書と辻褄を合せながら、それでいて自分たち(持統帝や藤原不比等ら)の
支配権の正当性を内外に知らしめるものでなければならなかったからである。
『書記』がなぜ書かれたのか。そこから取り掛からないと、謎は謎のままで終わってしまうことを知った。

奈良時代の知識人たちは、様々な学問の分野で想像以上の知識を持ち合わせていたようだ。
だから、歴史学の分野においても、知悉していたはずである。
しかし、彼らはそれを隠してしまった。
権力の源泉として利用するだけで、民族的な来歴を後世に残そうとはしなかった。
むしろ、歴史は自らを縛りつける邪魔な存在として位置づけられていたのかもしれない。

それにしても、『日本書紀』に史実が眠っているはずだとする著者の視点は面白かった。
新進気鋭の若い学者かと思いきや、専門外の老人が書いたと知り、本当に腰が抜けそうになった。
でも、だからこそ、説得的な論述ができているのだと思う。
戦時を体験し、日本社会に違和感を持ち続けてきた著者の鬱屈した感情が、文章中からヒシヒシ伝わってくる。
そうした思いが原動力となって、医業を続ける傍らで誠実な『書記』研究を大成できたのであろう。
津田左右吉、本居宣長、田中智学への嫌悪感が随所に書かれており、その記述のために1章分(第14章)割かれている。
むしろこの章が書きたいがために『書記』を研究していたのではないかと思えるくらいだ。
だから一方で、本書は純粋な研究書とはなり得ないし、そこが残念な点である。

他のレビュアー(カカオさん)が指摘したいくつかの箇所は私も疑問を持った。
多少、説明が強引に思える点が認められた。
なぜ、「601年」が辛酉の年の起点となったのか。説明されていないのも物足りない。
推古天皇の時期には疑義が呈されているし(岡田英弘『日本史の誕生』)、
皇位継承をめぐって何かの事件があったのかもしれない。
加えて、本書は触れていないけれども、『書記』にはなぜか記載されていない史実として、
600年の遣隋使派遣があるから、この時の文明格差の衝撃が起点となったものと考えられる(吉田孝『日本の誕生』)。

それに、先述したように、最後の14章は本書の価値を下げている。
それはそれとして、別に書けば良かったと思う。

ただし、本書が一読の価値のある本であることには変わりない。
閉鎖的な日本の学会が本書をどう評価しているのか。気になる所である。
門外漢の老いぼれが書いたトンデモ本として黙殺されていそうで気がかりだ。

私が思うに、出版社の売り方が悪い。
この物々しい本のタイトルはセンスに欠けているし、これでは専門家から忌避されて当たり前である。
興味本位で飛びつく一般人にしか読まれないだろう。
もったいない。これでは著者の功績を殺すことになる。
講談社あたりが学術文庫か現代新書で(タイトルを変えて)再販したら物議を醸すのではないだろうか。
この達見が、埋もれてしまわないように祈るばかりだ。
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形式:単行本
本書に記載された歴史年代の復元公式は興味深いのだが、全体的に無理やりで説得力のない推論・主張が目立つ。

具体的には以下の通り。

「崇神と垂仁が兄弟王朝だと考えうる根拠は、現・崇神陵と景行陵が並んでいるのに対して、現・垂仁陵とされている巨大古墳は、崇神・景行陵から遠く離れた奈良市・尼ヶ辻にあるからである。」(P.20)

なぜ、古墳が遠く離れていると兄弟であることの根拠になりえるのか全く理解不能である。もし、遠く離れたところに古墳があると兄弟になるのであれば、日本中、兄弟の古墳だらけである。この文章だけでも、著者の知的レベルが分かるというものであろう。

「すなわち日本古来の伝承は、ニニギもニギハヤヒもともに太平洋岸から降り立っており、黒潮ルート以外に考えられないのである」(P.52-53)

ニニギが降臨したのは日向、ニギハヤヒが降臨したのは河内。日本古来の伝承には、「太平洋岸から降り立っ」たどころか、降臨に至るまでの経路が分かる記載などないのだが、何故か「太平洋岸から降り立っており」という結論が提示される。日向はともかく、河内などは、むしろ位置的には瀬戸内ルートと考える方が自然だろう。太平洋側から渡来した可能性もないわけではないが、どちらにしても、「太平洋岸から降り立っており」と断定できるものではない。
著者自身の黒潮ルート渡来説に結びつけたいがために、自分の願望が脳内で事実になってしまっているのだと思われる。

その他、著者は、大国主の国譲りの話は西晋に滅ぼされた呉の先遣隊が国譲りを強要した話とし、その後、本隊が日向や河内に渡来したとする。また、河内に渡来した呉軍は箸墓を見て親魏の敵国に来たと悟って仰天し、魏軍であると偽ったと主張している。

出雲で国譲りが成立したのなら、出雲に行けばいいものを何故、わざわざ違う地に行ったのか不明であるし、箸墓を見て親魏の国に来たと悟ったとするのも強引過ぎる。しかも、既に魏は呉が滅ぶ前に滅んでいるのだから親魏もクソもないだろうに。
自分の思いついた呉軍渡来説と古事記や日本書紀などの記述との整合性をとるために、無理やりな推論を駆使した結果である。
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