ロマネ・コンティやモンラッシェで名高いブルゴーニュ・ワインに関心を持たれ,少し踏み込んでワインの勉強をしたいと考えているワイン愛好家にお勧めしたい。ブルゴーニュ地方のワイン醸造の歴史,畑の風土や特色,醸造法などについてジャイエ氏の言葉によって直接ワイン醸造家の立場から真摯な意見を読み解くことが出来る。この本から学び取れることは,最近のワイン醸造・流通の過程において,ワインを点数付けで評価したり,特定のワイン銘柄やビンテージに投機性の資金が流れ込みワインが実力以上に高価となっている風潮が,表層的で不健全であるということ。ワインは,単に酔う為のアルコールではない。ブルゴーニュの風土,天の恵みであるブドウの特性をワインという酒を媒介として醸造家が表現し,飲み手に訴えかけるものであることがよくわかる。ボルドーワインや新世界ワインとの比較,R・パーカー氏のワイン評価への言及なども,ブルゴーニュの醸造家の多数派の意見を代弁しているものとして興味深い。